犬と猫の歯周病について|ご家庭でのデンタルケアが重要
- 2024年3月13日
- 病気について
歯周病は、歯垢の中の細菌(歯周病原生細菌)が歯周ポケット内で増殖する結果生じる、歯周組織の炎症性疾患です。
3歳以上の犬の約80%、同じく猫の70%が歯周病にかかっていると言われており、単なる口内の問題にとどまらず、全身に様々な健康問題を引き起こす原因となることもあります。
今回は犬と猫の歯周病について、症状や治療方法、予防方法などを詳しく解説します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
犬と猫の歯周病の主な原因は、歯垢の中で増殖する歯周病原性細菌です。これらの細菌は、食べカスや唾液中の成分をもとに歯垢を形成し、それが石灰化することで歯石に変わります。
特に犬や猫の場合、歯垢が歯石に変わるまでの期間が人間と比べて、わずか3日と極めて短いため、予防と定期的なケアが非常に重要です。
また、免疫力低下や栄養状態、ストレスといった環境因子も、歯周病の発生に影響を及ぼします。
症状
歯周病にはいくつかの種類があり、初期段階では歯肉炎から始まり、進行すると歯周炎に至ります。
歯肉炎は歯肉の炎症を伴うため、赤みや腫れ、出血、口臭の増加を引き起こします。
歯肉炎を放置すると歯周炎に進行し、歯肉だけではなく歯槽骨や周囲の組織にまで炎症が及び、歯がぐらつく、歯が抜け落ちる、歯肉から膿が出る、強い口臭がするなどの症状が現れます。
診断方法
診断は、歯肉の状態、歯周ポケットの深さ、歯肉や歯根膜の状態などに注目して評価します。
正確な診断のためには、全身麻酔下での口腔内検査が必要です。なお、全身麻酔をかけずに検査を行うと、動物が暴れてしまい、口腔内の状態を正確に把握することが困難になってしまいます。
また歯周病の進行状態によっては、口腔内X線検査を用いて歯根や歯槽骨の状態を詳しく調べることもあります。
治療方法
歯周病の治療は、主に歯垢と歯石の除去(超音波スケーリング)から始まります。
このクリーニングは通常、大きな音と痛みが生じるため全身麻酔下で行われ、超音波スケーラーを使用して歯石を取り除きます。
具体的には、歯肉の下にある深い歯石の除去、感染した歯肉組織の除去、歯がぐらついている場合は歯の抜歯が必要となることもあります。
また、歯肉切除術(歯周炎になって形成された深いポケットを除去する目的で行う手術)などの外科的処置が行われることもあります。
治療後は、歯面研磨(ポリッシング)を行い、歯の表面を滑らかにして再び歯垢が付着しにくくします。
予防法やご家庭での注意点
歯周病の予防には、ご家庭でのデンタルケアが最も効果的です。若齢時からの歯磨きの習慣づけが重要ですので、お口周りや歯に触られることに慣れさせる練習が大切です。
また、硬いものを噛むことで自然に歯垢が落ちやすくなるため、ウェットフードよりもドライフードの方が歯周病になりにくいと言われています。
そして定期的な動物病院での口腔検査も、歯周病の早期発見に役立ちます。
まとめ
犬と猫の歯周病は、適切な予防とケアによって大きくリスクを減らせます。日々の歯磨きや定期的な口腔チェックは、愛犬や愛猫が健康で快適な生活を送るために不可欠です。
歯周病は単なる口内の問題ではなく、全身の健康に影響を及ぼす可能性があるため、ペットの口腔ケアにも十分注意を払いましょう。
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