犬と猫の外耳炎|垂れ耳の犬や猫は要注意
- 2024年8月9日
- 病気について
外耳炎は、耳の外部から中耳にかけて炎症が生じる病気です。こまめな耳掃除によってある程度予防することはできますが、基礎疾患が関係している場合などは完全に防ぐことが難しいため、早期発見・早期治療が大切です。
今回は犬や猫の外耳炎について、症状や治療方法、予防方法などを詳しく解説します。
■目次
1.外耳炎とは?
2.症状
3.原因
4.診断方法
5.治療方法
6.予防法とご家庭での注意点
7.まとめ
外耳炎とは?
外耳炎とは、耳の入り口から鼓膜までの「外耳」に炎症が起こる状態のことを指します。
犬や猫の外耳道はL字形をしているため通気性が悪くなり、外耳炎を発症しやすくなります。また、耳毛が多い品種や垂れ耳の品種では、耳の入り口が塞がれてさらに通気性が悪くなるため、外耳炎のリスクが高まります。
また、品種や皮膚の状態、持病の有無によって、外耳炎の発症しやすさや重症化の度合いが異なることもあります。
<好発犬種>
・アメリカン・コッカー・スパニエル
・トイ・プードル
・シー・ズー
・ラブラドール・レトリーバー
<好発猫種>
・スコティッシュ・フォールド
・アメリカンカール
症状
主に以下のような症状が見られます。
・耳を執拗に掻く
・頭をよく振る、床などにこすりつける
・首を傾ける
・耳が赤い
・耳垢が増えた
・耳がにおう
・膿が出ている
・耳に触ろうとすると嫌がる
また、頭を振りすぎたり引っ掻きすぎたりすると、耳介(いわゆる耳の部分)の血管が切れて血液が貯まる「耳血腫」を引き起こし、耳介が腫れたり熱をもったりすることもあります。
原因
主な原因には、以下のようなものが挙げられます。
・アレルギー:アレルギー性皮膚炎、アトピー性皮膚炎
・内分泌疾患:甲状腺機能低下症など
・異物の混入:草、砂、ほこりなど
・寄生虫感染:ミミヒゼンダニ
・細菌や真菌感染:細菌(ブドウ球菌)、真菌(マラセチアなど)
・自己免疫性疾患
さらに、外耳炎が起こると耳の自浄作用が低下し、皮膚の常在菌が繁殖しやすくなります。これにより、症状が悪化してしまうこともあります。
診断方法
診断には、身体検査や耳鏡検査が行われます。耳垢検査では、耳垢を顕微鏡で観察し、細菌や真菌、寄生虫の存在を確認します。
また、必要に応じて血液検査や画像検査を行うこともあります。
治療方法
治療には、耳洗浄や点耳薬、場合によっては内服薬による治療を行います。
また、基礎疾患がある場合には、その治療も同時に進めていきます。
通常、治療を始めてから数週間で完治しますが、アレルギーがある場合や治療が遅れた場合には、治るまでに数ヶ月かかることもあり、完治しても再発することがあるので注意が必要です。
予防法やご家庭での注意点
予防のためには耳の中を常に清潔に保つことが大切です。ただし、誤った方法で耳掃除をしてしまうと逆に外耳炎を引き起こしてしまうことがあるため、注意しましょう。
また一番重要なのは、定期的に治療を続けることです。外耳炎は、飼い主様の判断で治療を止めてしまうと再発しやすくなります。
一度状態が悪化すると、その状態から治療を再開せざるを得なくなり、回復がさらに難しくなってしまいますので、獣医師が処方したお薬は、指定された期間、指示された用量で使い続けることが大切です。
まとめ
自宅での耳掃除が難しい場合には無理にやろうとせず、プロに任せるのも一つの方法です。当院でも耳掃除を行うほか、ご自宅でのやり方をお教えすることができますので、何かお困りのことがあればお気軽にご相談ください。
また、日頃から耳のチェックを行い、異常が見られた場合はなるべく早めに動物病院で検査を受けるようにしましょう。
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