【獣医師監修】猫の体重減少の原因とは?注意すべき病気のサイン
- 2025年4月14日
- 病気について
「最近、愛猫が痩せてきた気がする…」と感じたことはありませんか?猫の体重減少は、単なる食欲の変化だけでなく、病気のサインであることもあります。特に高齢の猫では、加齢による自然な体重の変化と病的な減少を見分けることが重要です。
今回は、猫が痩せる原因や考えられる病気、日常のケアについて詳しく解説します。体重の変化にいち早く気づき、健康管理に役立てましょう。
■目次
1.猫の体重減少|特徴と種類を解説
2.考えられる主な原因
3.体重が減るときに見られる症状と注意点
4.すぐに受診が必要な症状
5.予防と日常のケア
6.まとめ
猫の体重減少|特徴と種類を解説
猫の体重減少には「急激な体重減少」と「緩やかな体重減少」の2種類があります。
<急激な体重減少>
数週間から1カ月ほどの短期間で体重が大幅に減るケースを指し、消化器系の疾患や内分泌疾患などが原因となることが多くみられます。
<緩やかな体重減少>
数カ月から数年かけて少しずつ体重が減少するケースで、慢性疾患や加齢による影響が考えられます。
正常な体重変動と異常な体重減少を見極めるには、日常的な体重測定が役立ちます。猫の体重は1週間に1回程度測定し、記録しておくと変化に気づきやすくなります。特に、1カ月で体重の10%以上が減少した場合は注意が必要です。
また、若齢猫は成長期に体重が増加しやすく、高齢猫では筋肉量の減少や代謝の低下により体重が減少することがあります。さらに、食事内容によっても体重の変化が異なり、室内猫と外猫では運動量が異なるため、個々の猫の生活環境や年齢を考慮しながら、適切な体重管理を行いましょう。
考えられる主な原因
猫の体重減少はさまざまな理由によって引き起こされます。ここでは、考えられる主な原因について解説します。
<内分泌疾患>
体重の減少を伴う内分泌疾患としては「甲状腺機能亢進症」が挙げられます。これは、甲状腺ホルモンの過剰分泌によって代謝が異常に活発になる病気で、高齢猫によくみられます。食事量が増えているにもかかわらず体重が減少し、多飲多尿や活動量の増加、攻撃的な行動がみられることが特徴です。
<消化器疾患>
消化器系の疾患では、「炎症性腸疾患(IBD)」や腸の腫瘍などが原因となることがあります。腸内の炎症や腫瘍によって栄養の吸収が妨げられ、結果として体重が減少します。これらの疾患では、体重減少に加えて嘔吐や下痢などの消化器症状が伴うことが少なくありません。
<慢性疾患>
腎臓病や糖尿病などの慢性疾患も、猫の体重が少しずつ減少する原因になります。特に腎臓病では、食欲不振や水を多く飲む症状が見られ、糖尿病では多飲多尿や元気の低下が目立つことがあります。これらの病気は初期症状が分かりにくいため、定期的な健康診断を受けることが大切です。
<ストレスや環境の変化>
猫は環境の変化に敏感な動物です。引っ越しや家族構成の変化、新しい猫の加入などがストレスとなり、一時的に食欲が低下することがあります。ストレスが長く続くと、体重減少だけでなく、隠れる時間が増える、グルーミングが過剰になるなどの行動変化がみられることもあります。
体重が減るときに見られる症状と注意点
猫が体重を落とすときは、ほかの体調の変化にも注目しましょう。
・食欲が変化していないか
口腔内の異常(歯周病、口内炎)や消化器疾患のほか、慢性疾患が原因で食欲が落ちることがあります。逆に、食事量が増えているのに体重が減る場合は、甲状腺機能亢進症の疑いがあります。
・いつもより動きが鈍く、寝ている時間が増えていないか
甲状腺機能低下症や腎臓病、慢性疾患全般が関係していることがあります。
・毛並みのツヤがなくなり、抜け毛が増えていないか
栄養状態の悪化やホルモン異常(甲状腺疾患)、ストレスが関係している場合があります。
・水を飲む量が増え、トイレの回数が多くなっていないか
糖尿病、腎臓病、甲状腺機能亢進症などのおそれがあります。
・嘔吐や下痢を繰り返していないか
消化器疾患(炎症性腸疾患、腫瘍)、膵炎などが疑われます。嘔吐や下痢が頻繁に続く場合は、栄養吸収が妨げられ、体重減少が進むことがあります。
これらの症状は、高齢猫ほど顕著に現れる傾向があり、加齢による自然な変化との見極めが重要です。
すぐに受診が必要な症状
猫の体重が急激に減少する場合、深刻な病気が進行しているおそれがあるため、早めの受診が推奨されます。
また、食欲不振や嘔吐を伴う場合は、消化器疾患や内臓の異常が疑われるため、放置せずに受診を検討しましょう。食事を摂らない状態が続くと、免疫力が低下し、病気の進行を早めることがあります。
さらに、高齢猫や持病のある猫の体重減少は、病気の初期サインや持病の悪化のサインであることが多いため注意が必要です。
予防と日常のケア
猫の体重減少を防ぐためには、日々の健康管理が重要です。定期的なチェックを行い、適切なケアを続けることで、病気の早期発見や健康維持につながります。
1. 定期的な体重測定
猫の健康管理には、週に1回の体重測定が役立ちます。変化を記録することで、異常に早く気づくことができます。
2. バランスの取れた食事
栄養バランスの良い食事を与えることが大切です。特にシニア猫では、消化吸収が落ちることがあるため、高品質なタンパク質を含むフードを選びましょう。
3. ストレスの軽減
環境の変化がストレスにならないよう、静かで安心できる場所を確保することが重要です。また、キャットタワーやおもちゃなどを活用して、日常的に遊びの時間を設けることで運動不足を防ぎ、ストレスを軽減できます。
まとめ
猫の体重が減ることは、自然な変化の場合もあれば、病気のサインであることもあります。猫は不調を隠す習性があるため、気づいたときには病気が進行していることも少なくありません。普段から体重を測り、食欲や元気の様子を観察しておくことが大切です。
愛猫の体重減少に気づいたとき、不安に感じることもあるかと思います。しかし、もし何か病気が隠れていたとしても、早めに気づいてあげることで、治療の幅が広がったり、症状が軽いうちに対応できたりすることもあります。もし「いつもと違うな」と感じたら、無理に様子を見ようとせず、動物病院に相談することをおすすめします。
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