猫が歯ぎしりをする理由とは?│要注意な病気のサインも
- 2025年4月16日
- 病気について
愛猫が「カチカチ」「ギリギリ」と歯ぎしりをするのを聞いたことはありませんか?
突然の音に驚き「何かの病気では?」と不安に感じている飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、猫の歯ぎしりにはさまざまな原因があり、放置すると健康に影響を及ぼすこともあります。
今回は、猫の歯ぎしりの原因や考えられる病気、適切な対処法について獣医師が詳しく解説します。
■目次
1.歯ぎしりの特徴と見分け方
2.猫の歯ぎしりは何を意味する?考えられる原因と注意したいサイン
3.検査・診断方法
4.治療方法と対処法
5.予防と日常ケア
6.まとめ
歯ぎしりの特徴と見分け方
猫の歯ぎしりは「カチカチ」や「ギリギリ」といった音で聞こえることが多く、食事中やリラックス時にみられることがあります。音だけでなく、次のような点にも注目しましょう。
・食事中の違和感:食べにくそうにしていたり、途中で食事をやめたりする
・口元の異変:口臭が強くなったり、よだれが増えたりする
・行動の変化:頻繁に口元を気にする、顔をこすりつける
また、歯ぎしりの音が聞こえても、毛づくろいの際の音や、食べ物を噛む音と区別がつきにくい場合があります。普段の様子と照らし合わせながら、違和感がないか確認してみましょう。
猫の歯ぎしりは何を意味する?考えられる原因と注意したいサイン
猫の歯ぎしりは、何らかの不調を示している場合もあります。ここでは、猫の歯ぎしりの主な原因と注意したいサインについて解説します。
1. 口腔内の問題
歯や歯茎のトラブルがあると、違和感や痛みを紛らわせるために歯ぎしりをすることがあります。食事中に顔をしかめる、硬いものを避けるなどの様子がみられたら要注意です。
・歯周病・歯肉炎:猫に多い口腔疾患で、歯石の蓄積や炎症による痛みが原因で歯ぎしりをすることがあります。多くの場合、口臭を伴います。
・口内炎:強い痛みを伴うことが多く、歯ぎしりのほかによだれや口臭、食欲不振がみられることもあります。
2. 精神的ストレス
環境の変化や不安感がストレスとなり、歯ぎしりを引き起こすことがあります。特に、以下のような状況では注意が必要です。隠れる・攻撃的になるなどの行動変化を伴うこともあります。
・長時間の留守番
・知らない人の来訪
・新しい猫や家族が増えた
・引っ越しや模様替え
3. 消化器系や腎臓の問題
胃腸の不調や慢性腎臓病などが原因で口腔内に違和感が生じ、歯ぎしりをすることがあります。同時に吐き気や食欲不振がみられる場合は、消化器疾患を疑う必要があります。
4. その他の全身疾患
神経疾患や脳の異常による発作の一環として、歯ぎしりのような動作がみられる場合もあります。
痛みや何らかの疾患が関係している場合、放置すると悪化することもあるため、普段と違う様子がないか、こまめに観察することが大切です。
検査・診断方法
猫の歯ぎしりが続く場合、口腔内の異常や全身疾患が関与しているおそれがあるため、早めに動物病院での診察を受けることが推奨されます。 診察では、主に以下のような検査を行い、原因を特定します。
1. 口腔内検査(視診・触診)
口の中を直接観察し、歯や歯茎の状態、炎症の有無、歯石の蓄積、口内炎の有無を確認します。口臭やよだれの増加、食べにくそうにしている様子がある場合は、診察時に獣医師へ伝えましょう。
2. 血液検査
歯ぎしりが腎臓病や消化器疾患などの全身的な病気によるものかどうかを調べるために行います。特に腎臓病の場合、尿毒症による口腔内の不快感が原因で歯ぎしりが起こることがあるため、血液検査で腎機能の評価を行います。
3. 画像診断(X線・超音波検査)
歯や顎の状態を詳しく確認するために、レントゲン検査を行うことがあります。 歯の根元に異常がある場合や、骨に影響を及ぼしているケースを診断するのに有効です。また、消化器疾患が疑われる場合には、超音波検査で胃や腸の状態を詳しく調べることもあります。
<飼い主様が気をつけるべき観察ポイント>
診断の精度を高めるためには、飼い主が日頃の様子を詳しく把握し、獣医師に伝えることが大切です。診察時に以下の情報を伝えられるようにしておきましょう。
・歯ぎしりが起こるタイミング(食事中、リラックス時、睡眠中 など)
・歯ぎしりの頻度(毎日なのか、時々なのか)
・その他の症状(口臭、よだれ、食欲の変化、体重減少、吐き気 など)
・ストレス要因の有無(引っ越し、新しい猫の加入、環境の変化 など)
これらの情報が診断の重要な手がかりとなり、適切な治療方針を決めるうえで役立ちます。 些細なことでも気になることがあれば、診察時に獣医師に相談してみましょう。
治療方法と対処法
猫の歯ぎしりは原因によって適切な治療法が異なります。自宅でのケアと動物病院での治療を適切に組み合わせることで、症状の改善が期待できます。
<口腔内疾患の場合>
口の中の異常が原因で歯ぎしりをしている場合、歯科処置が必要になることがあります。 具体的には、以下のような治療を行います。
・歯石除去(スケーリング): 付着した歯石を取り除くことで、歯周病や歯肉炎の進行を防ぎます。
・抜歯: 重度の歯周病や口内炎で痛みが強い場合、炎症のある歯を抜くことで痛みを軽減します。
・消炎鎮痛剤の使用: 痛みや炎症を和らげるため、一時的に投薬治療を行うことがあります。
<ストレスが原因の場合>
ストレスが歯ぎしりの要因になっている場合は、愛猫がリラックスできる環境を整えることが大切です。 以下の対策を試してみましょう。
・静かな場所の確保: 生活音やほかの動物との接触を避けられる安心できるスペースを用意します。
・遊びの時間を増やす: おもちゃやキャットタワーを活用し、適度な運動と刺激を与えましょう。
・フェロモン製品を活用する: ストレス軽減のために、リラックス効果があるフェロモン製品を使用するのも有効です。
・サプリメントの活用: ストレス軽減を目的としたサプリメントを試すのも一案です。獣医師と相談しながら適切なものを選びましょう。
<消化器疾患や腎臓病の場合>
胃腸の不調や腎臓病が関係している場合は、適切な検査を行い、病気に合わせた治療を進めることが重要です。
・薬による治療: 消化器の炎症を抑える薬や、胃腸の働きを整える薬を処方することがあります。
・食事療法の実施: 消化に優しい療法食や腎臓の負担を軽減する食事への切り替えが推奨されることもあります。
消化器のトラブルは歯ぎしり以外にも食欲不振や体重減少を伴うことが多いため、早めの診察が大切です。
予防と日常ケア
猫の歯ぎしりを防ぐためには、日頃のケアが大切です。適切な口腔ケアやストレス管理、健康観察を習慣化することで、トラブルを未然に防ぐことができます。
口腔ケアとしては、歯磨きやデンタルケアおやつを取り入れ、歯石の蓄積を防ぎましょう。特に、口臭やよだれの増加がみられる場合は、早めに動物病院でチェックを受けることが大切です。
また、ストレスの軽減も重要です。安心できる隠れ場所を用意し、生活リズムを一定にすることで、猫が落ち着ける環境を整えましょう。
そのうえで、食事の様子や行動の変化をチェックし、小さな異変に早く気づけるようにしておくことも、愛猫の健康を守るポイントです。気になる症状があれば、早めに動物病院へ相談しましょう。
まとめ
猫の歯ぎしりは、口腔内の異常やストレス、消化器系の問題など、さまざまな原因が関係していることがあります。放置すると症状が悪化することもあるため、日頃から愛猫の様子を観察し、違和感を覚えたら早めに対処することが大切です。
また、定期的な歯のチェックやストレス軽減策を取り入れることで、歯ぎしりの予防にもつながります。愛猫が快適に過ごせるよう、日常のケアを続けていきましょう。
もし歯ぎしりの頻度が増えたり、ほかの症状がみられたりする場合は、ぜひ一度動物病院で相談することをおすすめします。
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