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【獣医師解説】猫が吐く5つの原因と今すぐできる対処法|八幡みなみ動物病院|市川市の動物病院

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【獣医師解説】猫が吐く5つの原因と今すぐできる対処法

【獣医師解説】猫が吐く5つの原因と今すぐできる対処法|八幡みなみ動物病院|市川市の動物病院

【獣医師解説】猫が吐く5つの原因と今すぐできる対処法

「また吐いている…」「元気はあるけど、大丈夫かな?」猫と暮らすなかで、そのような不安を抱いた経験がある飼い主様も多いのではないでしょうか。

猫は犬に比べて吐きやすい動物であり、毛玉を吐いたりフードを戻したりすることがよくあります。ただし、吐く頻度や状態によっては、病気のサインが隠れている場合もあるため注意が必要です。

今回は、猫が吐く主な原因と受診の目安、家庭でできる対処法や予防策について、獣医師の視点から解説します。

■目次
1.猫が吐くのはなぜ?「嘔吐」「吐出」「反芻」の違い
2.猫が吐く原因とは?よくある5つの理由
3.すぐに動物病院を受診すべきサイン
4.ご家庭でできる対処法|軽い嘔吐のときにできるケア
5.猫の嘔吐を防ぐためにできる予防法
6.まとめ|「いつもと違う」その感覚を大切に

 

猫が吐くのはなぜ?「嘔吐」「吐出」「反芻」の違い

まずは、猫の「吐く」という行為について正しく理解しておきましょう。

猫の身体は、胃の出口が狭く、胃の粘膜も敏感なため、比較的吐きやすい構造をしています。また、日常的に毛づくろいをするため、毛玉(毛球)を吐き出すこともよく見られます。

ここで知っておきたいのが、「嘔吐」「吐出」「反芻」という言葉の違いです。

嘔吐(おうと)胃の内容物を吐き出す行為。食後しばらくしてから見られ、吐き気やよだれなどの前兆がある。

吐出(としゅつ)胃まで到達していない食道の内容物が戻る現象。食後すぐに起きることが多く、前触れがない。

反芻(はんすう):牛などの草食動物に見られる行為で、猫では起こりません

これらの違いを知っておくことで、「どの段階に問題があるのか」の見極めに役立ちます。

 

猫が吐く原因とは?よくある5つの理由

猫が繰り返し吐くときには、以下のような原因が考えられます。

1. 毛球症(もうきゅうしょう)
グルーミングで飲み込んだ毛が胃の中で毛玉となり、定期的に吐き出される現象です。月に1~2回程度の嘔吐であれば生理的範囲ですが、頻度が多かったり、食欲不振や便秘が伴う場合には注意が必要です。

2. 食べすぎ・早食い
フードを勢いよく食べすぎた場合、消化が追いつかずにすぐ吐き戻すことがあります。特に多頭飼育では、早食い傾向が強まりやすいため、食事環境の工夫が大切です。

3. 食物アレルギーやフード不耐性
特定のタンパク質や添加物に反応して、嘔吐が起こることがあります。同じ時間帯や食後すぐに毎回吐くような場合は、フードの見直しが必要かもしれません。

4. 胃腸炎・消化器疾患
ウイルスや細菌による胃腸炎、炎症性腸疾患(IBD)などの慢性的な炎症が原因のこともあります。嘔吐とともに下痢、体重減少、元気消失が見られるときは、早めに受診しましょう。

炎症性腸疾患(IBD)についてはこちらから

5. 腎臓・肝臓・内分泌系の病気
慢性腎臓病甲状腺機能亢進症肝疾患などの全身疾患が原因で嘔吐が見られるケースもあります。特に高齢の猫で吐く頻度が増えたときには、健康診断で内臓機能のチェックをおすすめします。

甲状腺機能亢進症についてはこちらから

 

すぐに動物病院を受診すべきサイン

以下のような症状がある場合は、すぐに動物病院の受診を検討してください。

嘔吐後、ぐったりして動かない
数時間のうちに3回以上吐く
嘔吐物に血が混じっている
水を飲まない、食欲がまったくない
白目や口の中が黄色っぽく見える(黄疸)
お腹を触ると激しく嫌がる

特に異物の誤飲や中毒が疑われる場合は、時間との勝負です。少しでも不安を感じたら、すぐに動物病院へご相談ください。

 

ご家庭でできる対処法|軽い嘔吐のときにできるケア

猫が軽く吐いたあとでも、元気や食欲があり、普段どおりに過ごしている場合には、ご家庭でできるケアで様子を見ることも可能です。以下の対処法を参考に、愛猫の体調を観察しながら対応してみてください。

<一時的に食事を控える>

吐いた直後は、胃が刺激を受けている場合があります。6〜12時間程度は食事を控え、胃を休ませましょう。ただし、脱水を防ぐために水は少量ずつ与えてください。一気に飲ませると、さらに吐いてしまうことがあるため注意が必要です。

<食事内容の見直し>

吐く原因がフードにある場合もあります。以下のような方法で様子を見ましょう。

ウェットフードに切り替える:消化が良く、水分も同時に摂れるため、胃への負担の軽減が期待できます。

少量ずつ回数を分けて与える:一度に多く食べると吐きやすくなるため、1日の量を数回に分けて与えると効果的です。

急なフード変更は避ける:フードを変える際は、数日〜1週間かけて徐々に切り替えるようにしましょう。

<毛玉ケアを意識した対策>

毛球症が原因で吐いている場合には、体内に毛がたまりにくい環境づくりが大切です。

ブラッシングの頻度を増やす:特に換毛期(春・秋)には、1日1回を目安に丁寧にブラッシングを行いましょう。

毛玉対策用のフードやサプリメントを試す:繊維が豊富な製品は、毛の排出を助けてくれる場合があります。ただし、体質や疾患によって合わないこともあるため、使用前に必ず獣医師に相談しましょう。

<食事環境の調整>

食器の高さが低すぎると、首を大きく下げて食べることになり、嘔吐を誘発しやすくなります。愛猫の体高に合った位置に食器を置くことで、負担を軽減できます。また、落ち着いた静かな環境で食事をとれるようにすることも大切です。

<こまめな水分補給>

嘔吐により水分が失われるため、脱水を防ぐために水分摂取が非常に重要です。飲水量が少ない猫には以下のような工夫を試してみましょう。

ウェットフードにぬるま湯を加える
流れる水が好きな猫には自動給水器を用意する
水飲み場を複数設置して選べるようにする

上記のような対処を行っても、24時間以上吐き気が続く、または嘔吐の頻度が高まるようであれば、必ず動物病院を受診してください。

一時的に症状が落ち着いても、原因が残っていれば再発を繰り返してしまいます。「ちょっと様子を見るつもりだったけれど、悪化してしまった」という事態を避けるためにも、不安なときは早めの相談が安心です。

 

猫の嘔吐を防ぐためにできる予防法

猫が吐く頻度を減らすには、日常的なケアや環境づくりが大切です。以下のような工夫を取り入れることで、愛猫の体への負担を軽減し、病気の早期発見にもつなげることができます。

定期的なブラッシングを習慣にする
毛づくろいで飲み込む毛の量を減らすことで、毛球症による嘔吐の予防になります。特に長毛種や換毛期の猫では、毎日のブラッシングが理想です。

食器や食事の与え方を工夫する
早食いが嘔吐の原因になることも。凸凹のある早食い防止用の食器や、少量ずつ出てくる自動給餌器を使うことで、ゆっくりと食べさせることができます。

フードの内容を見直す
アレルギーや消化不良を防ぐためには、猫に合ったフード選びが重要です。獣医師と相談しながら、低アレルゲンのフードや消化しやすい製品を取り入れるとよいでしょう。

定期的な健康診断を受ける
腎臓病や甲状腺機能亢進症など、吐き気を引き起こす全身疾患の早期発見には、健康診断が有効です。年に1〜2回の受診を目安にしましょう。

「たまに吐くのはよくあること」と見過ごさず、日々のちょっとした変化に気づくことが、愛猫の健康を守る第一歩です。

 

まとめ|「いつもと違う」その感覚を大切に

猫の嘔吐は、必ずしもすべてが病気というわけではありません。しかし、見逃してはいけないサインが含まれていることもあります。

日頃からのケアや小さな変化への気づきが、病気の予防や早期発見のカギとなります。
「なんとなくいつもと違う」「念のため診てもらいたい」など、ちょっとしたことでも構いません。どうぞお気軽に当院までご相談ください。

 

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