愛犬・愛猫が耳をかゆがる…実はトラブルのサインかも? 獣医師が原因を徹底解説
- 2025年7月10日
- 病気について
「最近、うちの子がよく耳をかいている」「頭をブルブル振るようになった気がする」そんな様子に気づいたことはありませんか?
耳をかく行動は一見かわいらしく見えますが、実は耳のトラブルのサインであることも少なくありません。そのままにしていると、かゆみが悪化して痛みや炎症に発展することもあるため注意が必要です。
今回は、犬や猫が耳をかゆがる主な原因、動物病院での診断と治療、自宅でできる予防ケアまでを、獣医師の視点からご紹介します。
■目次
1.犬や猫が耳に違和感があるときの行動とは?
2.耳をかゆがるときに考えられる主な原因
3.動物病院での診断と治療方法
4.すぐに動物病院を受診すべき症状とは?
5.ご自宅でできる耳のケアと予防法
6.まとめ|「よく耳をかいている」は重要なサインかも
犬や猫が耳に違和感があるときの行動とは?
犬や猫は耳にかゆみや不快感を覚えると、以下のような行動を見せることがあります。
・足で耳を頻繁にかく
・床や壁に耳や頭をこすりつける
・頭をよく振るようになる
・耳を触られるのを嫌がる・逃げる
・耳の中ににおいやベタつきがある
こうした行動が見られる場合、一時的なかゆみではなく、慢性的な耳の疾患が隠れていることがあります。放置すると症状が悪化することもあるため、早めの対処が大切です。
耳をかゆがるときに考えられる主な原因
犬や猫が耳に違和感を覚える原因はさまざまですが、以下のような疾患が多く見られます。
・外耳炎
最も一般的な耳のトラブルです。細菌や真菌(マラセチア)の感染などが原因で炎症が起こります。かゆみや分泌物、においなどが特徴で、特に垂れ耳や長耳の犬種(キャバリア、コッカー・スパニエルなど)に多く見られます。
・アレルギー
食物アレルギーやアトピー性皮膚炎が原因で耳の内側に炎症が生じることがあります。左右の耳に同時に症状が出るのが特徴で、皮膚全体にかゆみを伴うケースもあります。
・耳ダニ(ミミヒゼンダニ)感染
特に子猫や保護されたばかりの動物に多く、耳の中にカサカサとした黒い耳垢が溜まって強いかゆみを引き起こします。
・異物の混入
草の種、小さな虫などが耳の中に入ると、突然強いかゆみや違和感を訴えることがあります。
・腫瘍・ポリープ
高齢の犬や猫では、耳の中に腫瘍やポリープができて、かゆみや痛み、違和感の原因になることがあります。早期発見・治療が重要です。
動物病院での診断と治療方法
耳に異常が疑われる場合、動物病院では次のような検査が行われます。
・視診・耳鏡検査:耳の奥の状態や異物・腫瘍の有無を確認
・耳垢の顕微鏡検査:細菌・真菌・耳ダニの感染有無を確認
・細胞診:アレルギーや腫瘍の可能性がある場合に実施
・画像診断(レントゲンやCTなど):中耳や内耳に問題が疑われる場合に活用
治療は原因により異なりますが、点耳薬や洗浄、内服薬、アレルギー除去食などを組み合わせて行います。重度の外耳炎などは完治まで時間がかかることもありますが、途中で治療を中断すると再発しやすくなるため、根気強く続けることが重要です。
すぐに動物病院を受診すべき症状とは?
以下のような症状が見られる場合は、早急に動物病院を受診してください。
・耳を執拗にかく、こすりつける
・頭を傾けたまま戻らない
・耳から膿のような液体や血が出ている
・耳の中が赤く腫れている
・強い異臭がする
・発熱がある
・元気や食欲の低下がある
これらの症状は、重度の外耳炎、中耳炎、内耳炎、または腫瘍などの疑いがあるため、早めの対応が必要です。
ご自宅でできる耳のケアと予防法
日常的な耳のケアを行うことで、耳のトラブルの予防につながります。以下のようなポイントを参考に、習慣化していきましょう。
・定期的な耳のチェック
耳のにおい、赤み、耳垢の量などを月に数回観察しましょう。
・適度な耳掃除
月1~2回程度、耳の入口だけを優しく拭き取るのが理想的です。獣医師に相談のうえ、専用のイヤークリーナーを使用してもよいでしょう。
・湿気対策
お風呂や雨の日のあとは、耳の中をしっかり乾かすようにしてあげましょう。
・アレルギー対策
フードの見直しや、皮膚の健康を保つスキンケアも耳の健康に密接に関係しています。
なお、綿棒を使って耳の奥まで掃除するのは非常に危険です。耳垢を奥に押し込んでしまったり、傷つけてしまうおそれがあります。ご自宅では耳の“入口だけ”のケアに留めましょう。
まとめ|「よく耳をかいている」は重要なサインかも
耳をかく、頭を振るといった行動は、実は愛犬・愛猫からのSOSサインであることがあります。耳の健康は、日々の快適な暮らしに直結する大切な要素のひとつです。
「たまにかいているだけだから」と見過ごしてしまうと、悪化して痛みや聴力への影響につながることもあります。早めに気づいて適切な対処をすることが、愛犬・愛猫の健康を守る第一歩です。
当院では、犬種や猫種の体質、生活環境、これまでの病歴もふまえて、その子に合った耳のケアや治療法をご提案しています。気になる症状がある際は、どうぞお気軽にご相談ください。
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