マイクロチップの登録はお済みですか?犬を守るための制度と装着のメリット
- 2025年9月5日
- 病気について
災害や事故、ちょっとした隙を突いての脱走など、どれだけ注意していても、犬が迷子になってしまうリスクはゼロではありません。そんな「万が一」のときに、飼い主様のもとへ確実に帰れる手段として注目されているのが、マイクロチップの装着と登録です。
2022年6月からは、販売される犬へのマイクロチップ装着と登録が義務化されましたが、今も「装着って痛くないの?」「費用はどれくらい?」「登録って必要?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
今回は、犬のマイクロチップについて、仕組みから手続き、装着することで得られるメリットまで、詳しくご紹介します。
■目次
1.犬のマイクロチップとは?仕組みと装着のタイミング
2.義務化の背景と制度のポイント
3.マイクロチップの装着方法と費用の目安
4.飼い主様にとってのメリット|災害・迷子・盗難時の強い味方
5.まとめ
犬のマイクロチップとは?仕組みと装着のタイミング
マイクロチップは、直径2mm・長さ10mmほどの小さな電子器具で、内部にICチップとコイルアンテナが内蔵されています。これらが、生体適合ガラスで包まれており、体の中に入れても安全に使える設計になっています。
チップには15桁の番号が記録されており、専用の読み取り機をかざすと、電波に反応して番号が送信されます。この番号をもとに、犬と飼い主様の情報を照合する仕組みです。
装着のタイミングは、子犬の頃に行うケースが多いですが、成犬やシニア犬でも問題なく装着可能です。「もう大きいから…」と迷われている方も、ぜひご相談ください。
義務化の背景と制度のポイント
2022年6月1日、動物愛護管理法の改正により、販売される犬・猫へのマイクロチップ装着と登録が義務化されました。
これは、迷子や災害、盗難などで犬が行方不明になっても、飼い主様を特定しやすくするための制度です。マイクロチップは、犬の命を守る大切な備えとして位置づけられています。
<義務の対象となるのは?>
どんな犬に装着・登録が必要なのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
・販売される犬や猫(ブリーダーやペットショップ経由)
販売業者が装着し、飼い主様が登録手続きを行います。
・すでに一緒に暮らしている犬や保護犬
装着・登録は「努力義務」です。法的な義務ではありませんが、安全のために推奨されていま
<登録の方法は?>
装着後の登録手続きも、安心のために欠かせないステップです。
①獣医師から装着証明書をもらう
②環境省の専用サイトまたは郵送で申請
③登録料を支払い(オンラインの場合:300円/郵送の場合:1,000円)
登録内容には、氏名・住所・電話番号などの基本情報が含まれます。
<登録後も「変更手続き」が必要です>
以下のような場合は、登録情報の更新が必要になります。
・引っ越し
・飼い主の変更(譲渡など)
・愛犬の死亡
いずれもオンラインで簡単に手続き可能です。正確な情報を保つことが、いざというときの連絡につながります。
マイクロチップの装着方法と費用の目安
マイクロチップ装着は、動物病院で行う医療処置の一つです。ここでは、ご不安の多いポイントを中心にご説明します。
<装着の流れ>
装着は、肩甲骨の間に専用の注射器でチップを皮下に挿入するという方法で行います。
・注射針はやや太めですが、皮膚の下に入れるだけなので痛みは一瞬です。
・通常は麻酔なしでも対応可能です。
・避妊・去勢手術など、麻酔をかける処置と同時に装着することも可能です。
成犬やシニア犬でも問題なく装着できます。年齢を理由にためらう必要はありません。
<費用の目安>
費用は動物病院によって異なりますが、一般的には5,000円前後が目安です。
自治体によっては補助金制度を設けているところもあるため、事前に確認してみるとよいでしょう。
飼い主様にとってのメリット|災害・迷子・盗難時の強い味方
マイクロチップには、万が一のときにとても心強い3つの大きなメリットがあります。
1|迷子・災害時の再会率を大きく高める
首輪や迷子札と異なり、マイクロチップは犬の体の中に埋め込まれているため、落としたり外れたりする心配がありません。行政機関や保護団体、動物病院などには専用の読み取り機が設置されており、保護された犬のチップを読み取ることで、登録情報に基づき飼い主様に連絡が届く仕組みになっています。迷子や災害時に再会できる確率を大きく高めてくれる、頼れる手段です。
2|盗難や遺棄の抑止力になる
マイクロチップによって「この子には飼い主がいる」という事実が明確になることで、不正な販売や遺棄の抑止につながります。また、飼い主情報がひもづけられることで、法的なトラブルの際にも大切な証明になります。
3|生涯にわたる“身分証明”になる
マイクロチップには世界にひとつだけの番号が登録されており、犬にとっての一生ものの身分証明になります。海外渡航や動物検疫の場面でも、この番号が正式な証明として利用されることがあり、生涯にわたって役立つ情報となります。
また、実際に、迷子になって数年後に飼い主様の元へ戻ってきた例なども報告されており、マイクロチップが果たす役割の大きさがうかがえます。
まとめ
マイクロチップは、万が一のときに愛犬を守る心強い備えです。迷子や災害、盗難などの場面でも、体内に埋め込まれているため確実に個体を特定でき、再会の可能性を高めてくれます。
登録義務があるのは販売業者から迎えた犬のみですが、すべての飼い主様にとって大きな安心につながる制度です。万が一に備える“お守り”として検討する価値は十分にあります。
当院でも装着や登録に関するご相談を承っておりますので、気になる方はどうぞお気軽にご相談ください。
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