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猫の心不全サインを見逃さないために|日常の変化から早期診断につなげるヒント|八幡みなみ動物病院|市川市の動物病院

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猫の心不全サインを見逃さないために|日常の変化から早期診断につなげるヒント

猫の心不全サインを見逃さないために|日常の変化から早期診断につなげるヒント|八幡みなみ動物病院|市川市の動物病院

猫の心不全サインを見逃さないために|日常の変化から早期診断につなげるヒント

猫の心不全は、外から見ただけでは分かりにくく、静かに進行してしまうことが多い深刻な健康状態です。

もともと猫は不調を隠す動物でもあるため、飼い主様が日頃の変化に気づいてあげることが、早期発見につながります。特に呼吸の様子や活動量に変化が見られたときは、心臓に異常があるサインかもしれません。

今回は、猫の心不全の基礎知識や、日常で注意したい変化、診断・治療の流れ、ご家庭でのケアまでを詳しく解説します。

■目次
1.猫の心不全とは|心臓の機能不全が引き起こす全身への影響
2.初期症状に要注意|猫の心不全サインを見逃さないために
3.診断と治療の流れ|早期治療が命を守る鍵に
4.ご自宅でのケア|食事・ストレス管理・定期通院のすすめ
5.まとめ

 

猫の心不全とは|心臓の機能不全が引き起こす全身への影響

「心不全」とは病名ではなく、心臓の機能が低下して全身に十分な血液を送り出せなくなっている「状態」を指します。必要な酸素や栄養が体に行き渡らなくなるため、さまざまな臓器に影響が及びます。

猫の心不全は、単独の病気ではなく、さまざまな疾患や要因によって心臓の機能が低下することで起こります。特に高齢の猫では、複数の病気が影響しあって心不全を引き起こすケースも少なくありません。

<猫の心不全の主な原因>

次のような疾患が単独または複合的に進行することで、心不全を引き起こすリスクが高まります。

・肥大型心筋症(HCM)
猫に最も多く見られる心臓の病気で、心臓の筋肉が分厚くなり、血液をうまく送り出せなくなる状態です。

猫の肥大型心筋症についてはこちらから

・高血圧
血圧が高い状態が続くと、心臓に過剰な負担がかかり、機能が低下しやすくなります。

・甲状腺機能亢進症
甲状腺ホルモンの分泌が過剰になることで、代謝が過度に高まり、心拍数の増加や心臓の負担につながります。

猫の甲状腺機能亢進症についてはこちらから

・心臓弁膜症
心臓内の弁がうまく閉じなくなり、血液の逆流が起きることで、心臓の働きが悪くなる病気です。

<進行によって起こる合併症>

心不全が進むと、次のような深刻な合併症が現れることがあります。

・肺水腫
肺に水がたまる状態で、呼吸が苦しくなるなどの急性症状を引き起こします。放置すると命に関わることもあります。

・動脈血栓塞栓症
血液の流れが滞ることで血栓ができ、それが後ろ足などの血管に詰まると、突然後肢が動かなくなることがあります。非常に強い痛みを伴い、緊急の対応が必要です。

 

初期症状に要注意|猫の心不全サインを見逃さないために

猫の心不全は、初期の症状が非常に分かりにくいのが特徴です。「最近よく寝ている」「階段を上らない」「呼吸が少し速い」といった変化も、加齢や気候のせいと見過ごされてしまいがちです。

以下のような症状が複数見られる場合は、早めの受診をおすすめします。

呼吸が速い(安静時で1分間に40回以上)
口を開けて呼吸している
ジャンプや階段を嫌がる
寝ている時間が極端に長い
(あまり多くはないが、見られることも)

<呼吸回数の測り方>

猫の呼吸数は、安静にしているときに胸の上下運動を数えることでチェックできます。寝ているときなどに30秒間の呼吸を数え、その回数を2倍にすれば、1分間の呼吸数が分かります。

平常時の呼吸数は1分間に20~30回程度が目安ですが、40回を超えるようであれば心臓に何らかの異常が生じているおそれがあるため、動物病院での診察をおすすめします。

 

診断と治療の流れ|早期治療が命を守る鍵に

心不全が疑われる場合、動物病院では以下のような検査が行われます。

身体検査と聴診:心臓の雑音や肺の異常音がないかを確認します
胸部レントゲン検査:心臓の大きさや肺に水がたまっていないかを調べます
心エコー検査(超音波検査):心臓の筋肉の厚さや動き、血液の流れを観察します
血液検査:全身の状態や心臓に影響を与える他の病気の有無を確認します
心臓バイオマーカー検査(NT-proBNPなど):心臓への負担の程度を評価します

これらの検査を総合的に組み合わせることで、原因を丁寧に見極め、猫の状態に最も適した診断と治療につなげていきます。

<治療の基本方針>

猫の心不全では、心臓への負担を減らすことが治療の中心となります。主に薬による治療が行われ、猫の状態に応じて薬の種類や量を調整しながら進めていきます。

よく使用される薬には、次のようなものがあります。

利尿剤:体にたまった余分な水分を排出し、心臓への負担を軽減します
血管拡張薬:血管を広げて血液の流れを改善し、心臓の働きを助けます
ベータ遮断薬:心臓の動きを穏やかに保ち、過剰に働かないようにします

また、心不全の背景に他の病気がある場合は、それに対する治療も同時に行います。

心不全は一度の治療で終わるものではなく、定期的な通院と検査を通じて状態を見守りながら、薬の量や種類を調整していく「継続的な管理」がとても大切です。

 

ご自宅でのケア|食事・ストレス管理・定期通院のすすめ

心不全と診断されたら、治療とあわせて、日々の暮らしの中でも心臓への負担をやわらげる工夫が大切になります。

・食事管理
心臓の健康に配慮した療法食を基本とし、塩分は控えめに、栄養バランスを整えながら、愛猫の体にやさしい食事を心がけましょう。

・水分補給
脱水を防ぐため、家の中の複数箇所にお水を用意したり、ウェットフードを取り入れるのも効果的です。水分をとりやすい環境を整えてあげましょう。

・ストレス軽減
猫は環境の変化や大きな音に敏感です。静かで落ち着ける空間を用意し、安心して過ごせるようにしてあげましょう。

<薬の継続と副作用への注意>

処方された薬は、獣医師の指示に従い、毎日きちんと与えることが大切です。
もし体調に変化が見られたら、すぐに動物病院に相談し、薬の調整が必要かどうか確認してもらいましょう。

<定期的なモニタリング>

心不全は、外見だけでは進行に気づきにくい病気です。見た目に変わりがなくても、心臓の状態が少しずつ悪化していることがあります。定期的に心エコー検査や血液検査を行うことで、病気の進行を早い段階で把握し、適切な対応につなげることができます。
猫の心臓病に詳しい動物病院に継続的に相談することも、安心につながります。

 

まとめ

猫の心不全は、ごく日常的な変化の中にそのサインが隠れていることがあります。「年齢のせいかも」「しばらく様子を見よう」と判断してしまうと、病気が進行してしまうこともあります。

だからこそ、呼吸の様子や行動パターンに少しでも気になる点があれば、早めに動物病院に相談することが重要です。日々の小さな観察が、愛猫の健やかな暮らしを守る大きな力になります。

 

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