猫が毛玉を吐かない原因と対処法|腸閉塞を防ぐためにできること
- 2026年1月6日
- 病気について
猫が普段の毛づくろいで飲み込んだ毛は、通常「吐く」か「便として排出する」ことで体の外へ出ていきます。しかし近年「毛玉を吐かない」「以前より吐かなくなった気がする」といったご相談が増えています。
毛がうまく排出されず胃腸に溜まると「毛球症(トリコベゾア)」や便通の悪化につながり、場合によっては腸閉塞を起こすこともあります。
今回は、毛玉を吐かない理由と注意すべきサイン、ご家庭でできる予防ケアについて、動物病院の視点から詳しく解説します。

■目次
1.毛玉を吐かないことは異常?正常な仕組みと注意点
2.毛玉を排出できないと起きるトラブル
3.ご家庭でできる毛玉ケアと見守りポイント
4.病院でできること
5.まとめ
毛玉を吐かないことは異常?正常な仕組みと注意点
猫が毛づくろいで飲み込んだ毛は「吐く」または「便として排出する」という2つの方法で体の外へ出されます。多くの猫は便からスムーズに排出できており「吐かない=異常」ではありません。
ただし、次のような排出がうまくいっていないサインが続く場合は注意が必要です。
・便に毛がほとんど混ざらない
・便が細い、量が少ない
・便秘が増えてきた
とくに、換毛期・シニア猫・長毛種は毛玉トラブルが起きやすい時期・体質のため、こまめな観察が安心につながります。
毛玉を排出できないと起きるトラブル
毛が胃腸の中で絡まり固まると「毛球症(トリコベゾア)」と呼ばれる状態になります。軽い段階では「食欲が落ちる」「便秘が増える」といった小さな変化にとどまりますが、さらに進行すると腸閉塞を引き起こすこともあります。腸閉塞は命にかかわることがあるため、早めの対処がとても大切です。
次のような様子が見られる場合は、毛玉が詰まりかけているサインです。
・何度も「吐きそうで吐けない」様子がみられる
・食欲が低下している
・便が出ない、明らかに量が減っている
・ぐったりして元気がない
深刻に考えすぎる必要はありませんが、早めの気づきとケアによって多くのトラブルは防ぐことができます。普段の変化に気づきやすくするためにも、ぜひ日頃から体調や排泄のチェックを意識してみてください。
ご家庭でできる毛玉ケアと見守りポイント
毛玉トラブルは、ちょっとした習慣づくりで大きく予防することができます。まずは、毎日の生活の中で「どれくらい毛が排出できているか」を知るところから始めてみましょう。
・排出できているか便のチェック
毛玉を吐かない猫では、便が排出のメインルートです。そのため、便の中に細い毛が混じっているかどうかは、とても大切な観察ポイントになります。
「最近便に毛が少ない気がする」「量が減った」などの小さな変化も、早めの気づきにつながります。
・ブラッシングで“飲み込む毛”を減らす
とくに換毛期は抜け毛が増え、毛玉のリスクが上がります。
毎日のブラッシングは、飲み込む毛そのものを減らす最もシンプルで効果的な方法です。
スキンシップにもなるため、猫にとっても心地よい時間になります。
・食事でおなかをサポート
毛が便として自然に流れていくように、腸の動きを整えることも大切です。
例えば、毛玉ケアフードや食物繊維を多く含む食事、適度な水分補給になるウェットフードの併用などは、便を柔らかく保ち、毛をスムーズに排出するサポートになります。
「最近便が硬い」「排便間隔があいてきた」などの変化があるときにも、食事の工夫が役立ちます。
・毛玉除去剤は“補助”として
ラキサトーンなどの毛玉除去剤は、毛玉の排泄を助けるために動物病院でもよく使われます。ただし、自己判断で頻繁に使うのはおすすめできません。
体質や便通の状態によっては逆に負担となることもあるため「与える量」「与える期間」は獣医師の指示に従うと安心です。
<やってはいけない対処法>
良かれと思ってされがちな方法の中には、猫に負担がかかってしまうものもあります。
次のような行為は胃腸トラブルや誤嚥のリスクがあり、かえって危険です。
・植物油を大量に飲ませる
・無理に吐かせようとする
「吐かせればいい」という考えは誤解であり、家庭で吐かせる処置は絶対に行わないようにしてください。
病院でできること
毛玉の問題は、外から見えるサインだけでは判断しづらいことがあります。動物病院では、猫の負担を最小限にしながら「どこに毛玉が溜まっているのか」「どの程度進んでいるのか」を丁寧に確認していきます。
<問診・触診>
日頃の様子を細かく伺いながら、お腹を優しく触り、腸の張りや痛みの有無を確認しながら、毛玉がどのあたりに滞留していそうかを探っていきます。
飼い主様が気づいた小さな変化も、診断の大切な手がかりになります。
<検査>
問診と触診で得られた情報をもとに、必要に応じて次のような検査を行います。
・レントゲン検査:腸の詰まりや異物の有無を確認
・超音波検査(エコー):毛玉による腸や胃の動きの低下を評価
・血液検査:脱水、炎症、電解質バランスの変化をチェック
これらを組み合わせることで、腸閉塞のリスクや炎症の程度を正確に把握できます。
<治療・サポート>
診断結果に応じて、最適な方法をご提案します。
・内科的治療(多くのケースがこれに該当します)
・毛玉除去剤
・腸の動きを助ける薬
・食事内容や水分摂取の見直し
重度の腸閉塞が疑われる場合は、内視鏡で毛玉を取り除く処置や、外科手術が必要になることもあります。
八幡みなみ動物病院では「毛玉そのもの」だけではなく「なぜ排出できなくなっているのか」という背景まで丁寧に探ります。そのうえで、年齢・体質・生活環境なども含めて状態を把握し、再発しにくい状態を一緒に目指しながら、無理のない治療計画をご提案します。
まとめ
猫が毛玉を吐かないこと自体は、便からしっかり排出できている場合も多く、必ずしも異常ではありません。ただ「便に毛が混ざらない」「食欲が落ちる」「吐きそうで吐けない動作が続く」といったサインがあるときは、毛玉が胃腸に溜まり始めていることがあります。
毛球症や腸閉塞といったトラブルは、早めに気づいて対応することで重症化を防げるものです。日々のブラッシングや食事の見直し、便のチェックなど、ご家庭でできるケアが大きな助けになります。もし「いつもと違うかも」と感じたり、ご不安な点があったりした場合は、どうぞお早めにご相談ください。
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