猫の口内炎は早期治療が重要!|獣医師が教える予防と対処法
- 2024年10月21日
- 病気について
猫は口内炎を起こしやすい傾向があるため、定期的にお口の中をチェックすることが大切です。
もし、早い段階で異常に気づくことができれば、症状が悪化する前に治療を始めることができ、結果として愛猫の健康を守ることができます。
口内炎は放置してしまうと、猫の食欲が落ち、日常生活に大きな負担をかける原因となります。そのため、決して軽視してはいけない問題です。
今回は、猫の口内炎について原因や治療法、家庭でできるケアと注意点を解説します。
■目次
1.猫の口内炎とは?
2.猫の口内炎の主な原因
3.口内炎の症状
4.口内炎の診断方法
5.口内炎の治療法
6.家庭でできるケアと注意点
7.予防法
8.まとめ
猫の口内炎とは?
猫の口内炎とは、歯茎や舌などの口腔内の粘膜に炎症や腫れが生じ、出血や潰瘍が見られる状態を指します。
特に、猫の口内炎は慢性化しやすく、強い痛みを伴うため、猫の生活の質が大きく低下しがちです。食事が取りづらくなるなど、日常生活に支障をきたすこともあるため、早めの対処が大切です。
猫の口内炎の主な原因
猫の口内炎を引き起こす原因は、まだはっきりと解明されていませんが、現在考えられている要因は以下の通りです。
・歯周病:歯磨きなどのお手入れが不十分だと、歯石がたまって歯周病が進み、その結果、口内炎が起こることがあります。
・ウイルス感染:猫カリシウイルスや猫免疫不全ウイルスなど、ウイルスが原因となって口内炎が発症することがあります。
・自己免疫疾患:口の中にいる細菌などに対して、猫の免疫が過剰に反応することで、口内炎が引き起こされることがあります。
・アレルギー:食べ物や環境のアレルギーが原因で、口内炎が発生することもあります。
・異物やケガ:口の中に異物が入ったり、傷ができたりすると、それが原因で口内炎が起こることがあります。
・腫瘍:口の中に腫瘍ができると、その部分が傷つきやすくなり、口内炎の原因になることがあります。
・栄養不足:特にビタミンやミネラルが不足すると、口内炎が起こりやすくなります。
口内炎の症状
猫が口内炎を患うと、痛みを伴い、それにより食欲が低下することが多いです。主な症状は次の通りです。
・食欲不振:口の痛みが強いため、食事の量が減ることがあります。また、食べる時に痛そうにする様子が見られることもあります。
・よだれ:炎症の影響でよだれが増え、口の周りが濡れていることや、よだれを垂らす様子が見られます。
・口臭:口内の炎症が原因で、口臭が強くなることがあります。
・口に触られるのを嫌がる:口の中に痛みがあるため、触られることを嫌がり、観察しようとしても強く抵抗することがあります。
この時、舌や歯肉に潰瘍ができたり、粘膜が赤くなったりすことがあります。
・体重減少:痛みのために食事量が減り、体重が落ちることもあります。
口内炎の診断方法
猫の口内炎は、まず口の中を直接見て診断することから始まります。粘膜に赤みや潰瘍が見られる場合、口内炎と判断されることが多いです。
その後、炎症の具合や栄養状態を確認するために血液検査が行われることもあります。血液検査では、他に隠れた病気がないかも一緒に調べることができます。
もし、腫瘍が疑われる場合には、麻酔をかけて少しだけ組織を取り、その部分を病理検査で詳しく調べることがあります。
口内炎の治療法
猫の口内炎の治療は、まず口の中にいる細菌を減らし、炎症を和らげることを目的に行われます。さらに、口内炎の原因がはっきりしている場合は、その原因に対する治療も一緒に進めていきます。
治療には内科的な方法と外科的な方法があり、それぞれ猫の状態に応じて行われます。
<内科治療>
抗炎症薬や抗生物質を使って、炎症を抑えながら痛みを和らげることを目指します。これにより、口の中の細菌が減って、症状が少しずつ落ち着いてくることが期待されます。
また、免疫の反応が強すぎる場合には、免疫抑制剤を使ってその反応を抑える治療を行います。
もしアレルギーが原因となっている場合は、アレルゲンを取り除いた食事療法を取り入れて、症状の改善を目指します。内科治療は痛みを軽減し、症状を一時的に緩和する効果がありますが、完治が難しいこともあります。
<外科治療>
歯石の除去や、必要に応じて抜歯を行います。特に、奥歯をすべて抜歯する方法が効果的とされていますが、この処置は猫の全身の健康状態や飼い主様のご希望に合わせて慎重に決定されます。
家庭でできるケアと注意点
猫の口内炎は、普段の生活に大きな影響を与えるため、ご自宅でのケアがとても重要です。以下に、家庭でできるケアと注意点をまとめました。
・食事の工夫
口内炎がある猫には、食事が負担にならないように、柔らかい食べ物を用意してあげましょう。
ドライフードはふやかしたり、ウェットフードを取り入れたりすることで食べやすくなります。また、食事の温度を体温に近い温度にして、刺激を減らしてあげることも効果的です。
・口腔ケアの方法
口内炎のケアとしては、軟膏を塗ったり、よだれをこまめに拭き取ったりすることが大切です。
ただし、痛みや炎症が強い場合に無理にケアを行うと、症状が悪化することがありますので、必ず獣医師の指示に従って行いましょう。
・投薬の管理
お薬は、決まった時間にしっかりと与えることが大切です。忘れたり、時間が大幅にずれたりすることがないように気をつけてください。
猫が痛みで嫌がる場合は無理せず、獣医師と相談して投薬の方法を工夫しましょう。
・定期的な獣医師の診察
口内炎の状態は変化することがあるため、定期的な診察を受けることが大切です。診察を受けることで、お薬の調整や必要に応じた外科的処置の判断がなされます。獣医師の指示に従いながら、最適なケアを続けましょう。
予防法
猫の口内炎は、一度かかると治りにくいことが多いため、普段から予防を心がけることが大切です。毎日のケアとして、食後に歯磨きをすることを習慣にすると、口内の健康を保つことに役立ちます。
また、定期的に動物病院で歯科チェックや健康診断を受けることで、早い段階で異常を見つけて対処することができます。さらに、歯周病が進まないうちにスケーリングを行うことも、口内炎を防ぐために効果的です。
そして、バランスの取れた食事を与えることで、猫の体全体の健康をサポートし、口内炎のリスクを減らすことができます。
まとめ
猫の口内炎は、強い痛みを伴うため、早期の治療と飼い主様による日々のケアがとても大切です。獣医師の指導のもとで、しっかりと管理しながら、愛猫の健康を守ってあげましょう。
猫の口内炎の診察・治療なら、千葉県市川市にある八幡みなみ動物病院へご相談ください。
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