最近、猫のおしっこの量や回数が増えた…?その原因や隠れた病気について
- 2025年7月14日
- 病気について
猫のおしっこの量や回数が「増えた」と感じたことはありませんか? 実はその変化、体の異常を知らせるサインかもしれません。
水分をよく摂っているだけであれば問題ないこともありますが、病気の初期症状として現れるケースも多く、注意が必要です。
今回は、猫の排尿量や回数が増えたときに考えられる原因や、注意すべき症状、動物病院での検査や自宅でのケアのポイントについて、獣医師の視点から解説します。
■目次
1.猫のおしっこが増えたときに考えられる原因とは?
2.尿量・回数の変化と併発症状に注目
3.動物病院での検査と治療について
4.ご家庭でできる観察とケアのポイント
5.まとめ|「いつもと違うおしっこ」に気づくことが健康管理の第一歩
猫のおしっこが増えたときに考えられる原因とは?
猫の排尿量や回数が増えたと感じたとき、その背景にはさまざまな原因が考えられます。
<健康な猫のおしっこの目安>
猫の正常な尿量は、1日あたり体重1kgにつき20〜30mLほどとされています。回数は1〜2回が一般的ですが、個体差があるため「明らかに多くなった」「以前と比べて様子が違う」と感じたときは注意が必要です。
<生理的な原因の場合も>
おしっこの量が増えたからといって、必ずしも病気とは限りません。例えば以下のような日常的な変化でも、尿量が増えることがあります。
・暑い季節に水をよく飲むようになった
・ウェットフード中心の食事に切り替えた
・加湿器を使うなど、室内環境が変わった
こうした場合は一時的な変化で済むことが多く、全体的な元気や食欲に問題がなければ経過観察でも構いません。
<病気が隠れているケース>
しかし、明らかな変化が続いている場合や、ほかの症状が伴っているときは、なんらかの病気が隠れていることが考えられます。特に注意が必要な疾患として、以下のようなものが挙げられます。
・慢性腎臓病
・糖尿病
・甲状腺機能亢進症(高齢猫に多い)
・膀胱炎
・尿石症
・細菌感染
また、引っ越しや生活環境の変化など、ストレスによって排尿パターンが変わることもあります。
尿量・回数の変化と併発症状に注目
猫のおしっこが増えたときには、量や回数の変化だけでなく、そのときに現れる他の症状や行動の変化にも注目することが大切です。
<回数の増加と量の増加は別のサイン>
「おしっこの回数が増えた」場合と「1回あたりの量が多い」場合では、考えられる原因が異なります。
・回数が増えている:膀胱炎やストレスなど、膀胱・尿道に問題があるケースが多い
・量が増えている:腎臓や代謝系の疾患(糖尿病など)が関与している場合がある
この違いを把握しておくことで、動物病院での診断にも役立ちます。
<排尿時の異変もチェック>
以下のような様子が見られる場合は、膀胱や尿道に炎症や痛みがある疑いがあります。
・排尿時に鳴く、痛がる
・トイレで長時間うずくまる
・血尿が見られる
特に雄猫は尿道閉塞のリスクが高く命に関わる場合もあるため、これらの症状が見られたらすぐに動物病院を受診しましょう。
<行動の変化も見逃さない>
排尿に関する行動変化も重要なサインです。
・トイレ以外の場所で粗相をする
・トイレに入りたがらない
・トイレの前で鳴く、うろうろする
こうした行動には「トイレ=痛い場所」という記憶や不快感が背景にあることもあります。
動物病院での検査と治療について
猫のおしっこに異常が見られた場合、原因を特定し適切な治療を行うためには、動物病院での検査と診断が欠かせません。ここでは、主な検査の流れと治療方法についてご紹介します。
<実施される主な検査>
動物病院では、以下のような検査を通して原因を特定していきます。
・問診と身体検査
・尿検査(成分、比重、pHなど)
・血液検査(腎機能や血糖値のチェック)
・超音波検査(膀胱や腎臓の状態確認)
必要に応じてレントゲン検査などが追加されることもあります。
<原因に応じた治療法>
診断結果に基づいて、以下のような治療が行われます。
・膀胱炎:抗生物質や消炎薬による治療
・慢性腎臓病:療法食と点滴によるサポート
・糖尿病:インスリンの投与と食事管理
疾患によっては継続的な通院やケアが必要になることもありますが、早期に治療を始めることで状態を安定させ、日常生活を快適に保つことが期待できます。
ご家庭でできる観察とケアのポイント
猫のおしっこの異常に早く気づくためには、日頃からのちょっとした観察と、快適な生活環境を整えることが大切です。ご家庭で実践できるポイントをまとめました。
<日々の観察ポイント>
排尿の異常に早く気づくためには、普段からの観察がとても重要です。
・トイレの回数や滞在時間
・猫砂の濡れ具合や吸収シートの重さ
・尿の色やにおいの変化
こうした情報を記録しておくと、受診時に獣医師が判断しやすくなります。
<快適な排尿環境を整える>
排尿トラブルを予防・改善するには、猫にとってストレスの少ないトイレ環境を整えることも大切です。
・いつでも新鮮な水が飲めるようにする
・トイレの数や配置を見直す(頭数+1が理想)
・猫が落ち着ける静かな場所にトイレを設置する
・トイレはこまめに掃除し、清潔を保つ
環境の工夫で、ストレスによる排尿異常が改善されることもあります。
まとめ|「いつもと違うおしっこ」に気づくことが健康管理の第一歩
猫のおしっこの量や回数が増えるのは、見逃されがちな体調不良のサインであることもあります。小さな変化に気づき、早めに対処することが大切です。
「いつもと違う」「なんとなく気になる」そんな直感を大切にし、気になることがあればお気軽に当院までご相談ください。毎日のちょっとした観察が、大切な愛猫の健康を守る第一歩です。
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