犬と猫の白内障について|白く濁っている目は注意が必要
- 2024年1月30日
- 病気について
白内障は猫での発生率は低いものの、犬では比較的よくみられる病気です。多くは加齢が原因で起こり、さまざまな視覚障害を引き起こします。
残念ながら特効薬はなく、一度濁ってしまった水晶体は元に戻らないことから、早期発見・早期治療が大切です。
今回は犬と猫の白内障について、症状や治療方法、予防方法などを解説します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
白内障の原因には、先天性(生まれつき)と後天性があります。
先天性の場合は若いうちから発症することがあり、その原因は遺伝的要因が関与していると考えられており、以下のような品種では遺伝的に白内障になりやすいことがわかっています。
<犬>
・トイプードル
・柴犬
・ミニチュアダックスフンド
・チワワ
<猫>
・ペルシャ
・ヒマラヤン
後天性の場合は老化によるもの、病気(糖尿病、ブドウ膜炎、緑内障など)や外傷などが原因で起こることもあります。
犬では老化(7歳以上)による発生が多く、猫の場合はけがによる白内障が多いようです。
症状
水晶体の濁りの程度によって症状は大きく異なり、4つのグレードに分けられます。
・初発白内障
水晶体の一部に濁りがある程度で、目立った症状はみられません。
・未熟白内障
濁りの範囲が少しずつ広がっていき、視界が徐々にぼやけてきます。
また暗所では特に目が見えづらいため、動きが鈍くなったり夜の散歩を嫌がったりすることもあります。
・成熟白内障
水晶体全体が白く濁り、肉眼で見ても瞳孔の部分が真っ白になっていることがわかります。
視力を完全に失った状態のため、物によくぶつかる、動きたがらなくなる、段差を踏み外す、臆病になるといった視覚障害がみられるようになります。
・過熟白内障
水晶体の内容が溶け出し、ブドウ膜炎や緑内障などを引き起こしやすくなります。
グレードが高くなるほど、合併症が増えて治療が難しくなります。治療が困難な場合には、最終的に眼球の摘出が必要になることもあります。
このような状況にならないためにも、初期段階での発見と、白内障のみの段階での治療が重要です。
診断方法
検眼鏡検査やスリットランプ検査、眼底検査、眼圧測定、流涙量の測定、フルオル検査、血液検査、超音波検査など、必要に応じてさまざまな検査を行います。
治療方法
主に点眼薬やサプリメントを使った治療を行います。しかし、あくまで進行スピードを緩やかにするための治療であり、白内障が治るわけではありません。
また、手術を行うことで再び目が見えるようになる可能性はありますが、手術ができる施設は限られています。手術をご希望の際は専門の病院をご紹介致しますので、まずは一度ご来院いただき、ご相談ください。
予防法やご家庭での注意点
水晶体は主に水と蛋白質からできています。卵の白身も同じく蛋白質からできていますが、加熱して白くなるともう透明に戻すことはできませんよね。それと同じように、一度白く濁ってしまった水晶体も元に戻すことはできません。そのため、定期的に健康診断を受け、早期発見・早期治療に努めましょう。
また、犬では白内障を引き起こす糖尿病を防ぐために、食事や体重の管理をしっかりと行うことが重要です。また、猫では他の猫との喧嘩を避けるために、室内飼育を徹底することで、発症の可能性やリスクを低減できます。
まとめ
実は、犬も猫も人間ほど視覚に頼っておらず、白内障により目が見えていなくてもさほど不自由を感じずに生活ができます。
ただし、すべての危険をキャッチできるわけではないため、例えばぶつかったら危険なものはどかしたり、留守番中はサークルに入れたりして安全性を確保してあげましょう。
また、見えていたときの感覚を頼りに生活しているため、大きな家具の配置や散歩コースを変えないように気をつけましょう。
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