犬と猫の脂肪腫について|しこりの種類と見分け方
- 2024年4月18日
- 病気について
愛犬や愛猫を撫でているとき、ふとした瞬間にしこりを見つけたことはありませんか?
皮膚には腫瘍と呼ばれるできものが現れることがあります。その中でも、脂肪腫という良性の腫瘍は、小さいうちは何の害も及ぼさないことが多いのですが、大きく成長すると、その位置によっては歩きづらくなったり、摩擦で不快感を感じたりする原因になることがあります。
今回は犬と猫の脂肪腫について、原因や症状、治療方法などを詳しく解説します。
■目次
1.脂肪腫とは
2.原因
3.症状
4.診断方法
5.治療方法
6.予防法やご家庭での注意点
7.まとめ
脂肪腫とは
脂肪腫は犬や猫の皮下組織に発生する良性の腫瘍で、主に脂肪細胞が原因で発生します。一般的には無害で痛みを伴うことも少ないのですが、しこりが大きくなりすぎると、動きにくさを引き起こし、摩擦によって皮膚が赤くなることもあります。
脂肪腫のサイズはその進行度によってさまざまですが、通常はドーム状の形をしており、柔らかく、皮膚の下で容易に動かせます。それでも、中には硬く、動かせない腫瘍もあります。
これらの腫瘍は、特に腹部、胸部、腿などの軟部組織に発生する傾向があります。
原因
脂肪腫の原因はまだ完全には解明されていませんが、遺伝的要因、肥満、運動不足などが関連していると考えられています。犬においては特に一般的で、猫では珍しい病気です。
また、犬や猫が年を重ねるにつれて、脂肪腫の発生リスクが高まることが知られています。しかし、若年でも脂肪腫が現れる場合があるため、愛犬や愛猫の健康を守るためには、定期的な健康診断が推奨されます。
症状
脂肪腫は、その発生する場所によって大きく3つのタイプに分類されます。
<皮下脂肪腫>
脂肪腫の中で最も一般的に見られるタイプです。皮膚の直下に柔らかいしこりとして現れます。ほとんどは無害ですが、大きくなりすぎて周囲の組織に圧迫を及ぼすようになると、切除が必要になることがあります。
<筋間脂肪腫>
皮下にできたものが筋肉の間に入り込む形で発生します。
触ると、皮下脂肪腫に比べてやや硬く感じることが特徴です。
巨大化した場合、筋組織を圧迫し、障害を引き起こす可能性があります。
<浸潤性脂肪腫>
良性の脂肪腫であるにもかかわらず、その浸潤性の強さが特徴です。隣接する組織や臓器に広がりやすく、四肢や筋肉、神経などを圧迫し、悪影響を及ぼすことがあります。
また、切除した後に再発する可能性もあります。
診断方法
皮膚の腫瘍にはさまざまな種類があるので、その性質を正確に判断することが非常に重要です。腫瘍が見つかった際には、まずその腫瘍がどのような細胞から成り立っているのか、そしてそれが良性のものなのか、それとも悪性の可能性があるのかを把握する必要があります。
診断は、腫瘍の触診や外観の評価から始まります。判断が難しい場合や、悪性腫瘍の可能性を完全に排除するためには、さらに詳細な検査が必要になることがあります。
その一つが細胞診です。これは細針穿刺吸引とも呼ばれ、腫瘍から直接細胞を採取し、顕微鏡で細かく観察する方法です。
さらに、生検という手法を用いて、腫瘍の一部を切り取り、その組織を顕微鏡下で詳細に調べることもあります。
腫瘍が筋肉の間に位置している場合や、周囲の組織への浸潤が疑われる場合には、超音波検査やCTスキャン、MRIといった画像診断技術を活用することもあります。
これらの検査は、腫瘍の正確な位置や大きさ、周囲の組織への影響を把握するのに役立ちます。
治療方法
脂肪腫はその種類によって対応が異なります。脂肪腫が自然に消えることはないため、適切な対応が必要です。
具体的には以下のような治療方法が考えられます。
<皮下脂肪腫>
大半が定期的な観察で管理できます。しかし、腫瘍が大きくなりすぎたり、周囲の組織に浸潤したりしている場合は、手術による切除が必要となります。
<筋間脂肪腫>
筋肉への圧迫によって障害が起こる可能性があるため、発見され次第、早期に手術により摘出することが推奨されます。
<浸潤性脂肪腫>
最も治療が難しいタイプであり、正常な脂肪組織との区別が困難な場合もあります。このため、腫瘍をより広範囲に切除する必要があり、再発のリスクも高くなります。特に四肢に浸潤している場合は、ペットの生活の質(QOL)を考慮して、断脚という選択肢も考慮に入れる必要があります。
予防法やご家庭での注意点
脂肪腫の発生を完全に防ぐ方法は確立されていませんので、できるだけ早く腫瘍を見つけられるように、日頃から愛犬や愛猫とのスキンシップをかかさないようにしましょう。
見た目や触感だけでは、脂肪腫をはじめとするさまざまな腫瘍を正確に識別することは難しいため、しこりを見つけた際は自己判断は避け、できるだけ早く動物病院で適切な検査を受けることをお勧めします。
まとめ
犬や猫における脂肪腫は、成熟した脂肪細胞から構成される良性の腫瘍であり、特に犬においてよく見られます。
これらの腫瘍は通常、愛犬や愛猫にとって無害で、健康に直接的な害を及ぼすものではありません。しかし、そのサイズや位置によっては不快感や運動能力の低下を引き起こすことがあります。
不安や疑問がある場合は、いつでも当院にご相談してください。
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