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犬と猫の尿路結石症について|水腎症への進行を防ぎ、愛犬や愛猫を守る|八幡みなみ動物病院|市川市の動物病院

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犬と猫の尿路結石症について|水腎症への進行を防ぎ、愛犬や愛猫を守る

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犬と猫の尿路結石症について|水腎症への進行を防ぎ、愛犬や愛猫を守る

尿路結石症とは何らかの原因で、尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に結石や結晶ができてしまう病気で、痛みや感染症を引き起こします。
また、結石が尿路を塞ぐことで尿が完全に出なくなり、尿路閉塞を引き起こしてしまうと、命の危険もあるため注意が必要です。

今回は、尿路結石症とその結果として起こりうる水腎症について、その原因、症状、診断方法、治療方法について解説します。

■目次
1.尿路結石症とは
2.尿路結石症から水腎症への進行
3.尿路結石症の原因
4.症状
5.診断方法
6.治療方法
7.予防法やご家庭での注意点
8.まとめ

 

尿路結石症とは

尿路結石症は、尿路に結晶が形成され、固まって結石になる病気です。この結石が尿の流れを妨げ、痛みや感染症を引き起こすことがあります。最悪の場合、尿路閉塞を引き起こし、命にかかわる事態に至ることもあります。

結石には、療法食で溶かせるストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)結石と、一旦結晶化すると溶けないシュウ酸カルシウム結石が存在します。

 

尿路結石症から水腎症への進行

尿路結石症によって尿の流れが妨げられると、尿が腎臓に逆流し、腎臓が拡大して機能が低下することがあります。この状態を水腎症といい、放置すると腎不全を引き起こし、命にかかわります。

水腎症には、生まれつきの先天性と後から発症する後天性があります。

先天性の水腎症は、腎臓や尿路の奇形や異常
によって起こります。
一方、後天性の水腎症で最も一般的な原因は尿管閉塞で、この閉塞は結石や腫瘍によって引き起こされます。

また、尿管を塞ぐような腫瘍性の病変、外傷、または尿管手術後の合併症によっても発生することがあり、尿管の完全な閉塞でなくても、約70%から80%の部分的な閉塞であっても水腎症を引き起こすことがあるとされています。

 

尿路結石症の原因

結石の形成は主に以下の要因によって引き起こされます。

食事マグネシウムやリンが多い食事は、結石のリスクを高めます。
尿pH:尿のpHがアルカリ性または酸性に偏ると、特定の結石が形成されやすくなります。
水分摂取量不十分な水分摂取は尿を濃縮し、結晶の形成を促進します。
感染症:尿路感染症はストルバイト結石の形成を特に促すことが知られています。
代謝疾患副腎皮質機能亢進症上皮小体機能亢進症では結石が認められることがあります
遺伝的要因:特定の犬種や猫種には遺伝的に結石を形成しやすい傾向があります。
犬では、ミニチュア・シュナウザー、ビション・フリーゼ、トイ・プードル、シー・ズーなどが、猫ではアメリカンショートヘアー、スコティッシュフォールド、ヒマラヤンが尿路結石症を発症しやすいとされています。

これらの要因が組み合わさることで尿路結石症は発生しやすくなります。

 

症状

尿路結石症の症状は、結石の大きさや溜まる場所によっても様々ですが、何度もトイレに行く、排尿時の痛みで鳴く、血尿、落ち着きがなくなるなどの様子が見られます。
また、結石が尿管や尿道に詰まって閉塞を起こした場合には、尿が出ない、食欲不振、元気消失などの様子も見られます。
排尿できなくなると腎機能の低下を起こし、命に関わることもあるためすぐに動物病院を受診しましょう。

 

診断方法

尿路結石症の診断には、以下の方法が一般的です。

尿検査:尿の成分を分析し、結晶の存在を確認します。尿路結石症の診断には欠かせない検査です。
血液検査:全身の健康状態を評価し、腎機能への影響の有無や他の疾患が存在しないかを検討します。
超音波検査:膀胱や腎臓の状態を視覚的に確認します。
X線検査:結石の位置や大きさを特定します。

 

治療方法

尿路結石症の治療は、結石の種類や症状の重さに応じて異なります。

 

<食事療法>

ストルバイト結石は、療法食で溶かすことができます。尿を酸性化する食事療法は、マグネシウム、アンモニウム、リンの摂取を抑えることで結石を溶かしやすくします。

 

<薬物療法>

痛みの管理や尿の酸性度を調整する薬を使用し、結石の溶解を促進する場合があります。また、尿路感染症が結石の形成に関係している場合は、抗生物質が処方されることもあります。

 

<外科手術>

手術による結石の除去は、シュウ酸カルシウム結石の場合や、他の方法で効果が見込めない場合結石が尿路を完全に塞いでしまっている場合に行われます。

 

<SUBシステム設置術>

特に重度の水腎症を伴う尿路結石症の場合に考慮されるのがSUBシステム設置術です。尿管の代わりに人工的なバイパスを作成する手術で、尿の流れを回復させることを目的とします。
この方法は、結石によって尿管が損傷している場合や、再発性の結石に対して効果的です。

 

予防法やご家庭での注意点

尿路結石症及び水腎症の予防には、日常生活の中で特に水分摂取、食事管理、そして定期的な健康診断への注意が必要です。十分な水分を摂取することで尿を薄め、結晶の形成を防げます。

また、食事においてはマグネシウムやリンの摂取を控えることが推奨されます。低マグネシウム、低リンの食事を心がけることで、これらの成分が過剰に尿中に排出されるのを防ぎ、結石形成の可能性を下げることができます。

そして、定期的な健康診断を受けることも重要です。特に尿検査を定期的に行うことで、結石の早期発見につながり、早期治療によって症状の悪化や重篤な状態への進行を防ぐことが可能です。

 

まとめ

尿路結石症と水腎症はいずれも犬と猫にとって重大な健康問題です。定期的な健康管理と適切な予防策により、これらの病状のリスクを最小限に抑えることが可能です。
飼い主様は日頃から愛犬や愛猫の尿の状態に注意を払い、異常を見つけ次第速やかに獣医師の診察を受けることが重要です。

 

■尿路結石症に関連する記事はこちらで解説しています
犬と猫の尿道閉塞について

 

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