犬がうんちを食べてしまう理由とは?食糞の原因とやめさせ方・病気の可能性を解説
- 2026年1月6日
- 病気について
犬の食糞は、実は多くの飼い主様が悩んでいる行動のひとつです。「どうしてうちの子だけ…?」と思われる方もいらっしゃいますが、食糞の背景には 行動的・環境的・医学的要因 が複雑に関わっていることも多く、決して珍しい行動ではありません。
大切なのは叱ることではなく、まず 「なぜその行動が起きているのか」 を知ることです。
今回は、犬がうんちを食べてしまう理由と対処法、そして健康面で注意すべきポイントについて、獣医師の視点から解説し、ご家庭で実践できる改善策をご紹介します。

■目次
1.食糞とは?行動の背景を理解しよう
2.食糞の主な原因
3.ご自宅でできる対策とやめさせ方
4.動物病院での診察と治療の流れ
5.まとめ
食糞とは?行動の背景を理解しよう
食糞とは、自分または他の犬の排泄物を食べてしまう行動を指します。犬では比較的よく見られる行動で、生まれつきの習性や環境要因、学習によって身につくこともあります。
また、次のような場面で起こりやすい傾向があります。
・子犬期: 探索行動が活発で、何でも口に入れて確かめる時期
・多頭飼育: 他の犬の行動を真似しやすい環境
・留守番が長い・刺激不足: 暇つぶしやストレスのはけ口
・シニア期: 認知機能の変化で行動が変わることがある
「恥ずかしい」「叱らないといけない」と考える必要はありません。むしろ、犬からのサインと受け止めることで、今の生活や健康状態を見直すきっかけにもなります。
食糞の主な原因
犬がうんちを食べてしまう背景には、いくつかのタイプがあります。ここでは、大きな分類ごとにどのような可能性が考えられるのかを見ていきましょう。
<行動・環境による要因>
行動や生活環境が影響しているケースは少なくありません。
・本能的な行動
母犬は巣を清潔に保つために子犬の排泄物を食べる習性があり、その行動を子犬が模倣して覚えてしまうことがあります。成長してからも、その名残で食糞を続ける犬もいます。
・退屈・ストレス・かまってほしい気持ち
十分な運動や遊びが足りない、留守番が多い、生活の変化で不安があるなど、心の刺激が不足すると「暇つぶし」や「気持ちを落ち着けるため」に食糞が起こることがあります。
・しつけによる影響(隠そうとする行動)
排泄で叱られた経験がある犬は「怒られる前に隠してしまおう」と考えて便を食べてしまうことがあります。これは犬なりの防衛行動で、しつけによる影響が背景にあるケースです。
・フード管理や消化の問題
消化が十分にできていないと便に未消化物が残り、においが強くなって犬が興味を持ちやすくなります。フードの質や量が合っていない、栄養バランスが偏っているなども、食糞のきっかけになります。
<医学的要因>
食糞の背景に、身体の不調 が隠れていることもあります。
・寄生虫感染や消化器疾患
腸内で栄養吸収がうまくいかないと、便に栄養が残りやすくなり、それが食糞の原因になることがあります。寄生虫感染や消化器のトラブルで起こりやすいパターンです。
・代謝異常(膵外分泌不全・糖尿病など)
膵臓の働きが低下したり、代謝バランスが崩れたりすると食べ物を十分に消化できず、便のにおいや質が変化します。その結果、犬が便に興味を示しやすくなることがあります。
・薬の副作用や高齢による認知機能低下
一部の薬が行動に影響を与えることがあり、高齢犬では認知機能の低下によって判断力が衰え、突然食糞が始まるケースもあります。
<「病気が原因だった」ケースも少なくない>
このように、一見するとしつけの問題に見えても、実は医学的な原因が潜んでいることもあります。
・急に食糞が始まった
・シニア期に入ってから増えた
・食欲や体調の変化を伴っている
上記のような場合は、健康チェックを行うタイミングとして動物病院での相談をおすすめします。
ご自宅でできる対策とやめさせ方
原因が行動・環境・医学的と幅広いように、対策もひとつではありません。「叱る」のではなく、“どうすれば食糞しづらい環境になるか”を整えることがポイントです。今日から実践できる具体策を、順番にご紹介します。
<行動面からのアプローチ>
食糞対策の基本は 「食べる前に片づける」 ことです。
・排泄後すぐに片づける
散歩中はリードを短めにし、便に近づく隙をつくらないように管理します。
・叱らず、ほめて誘導する
排泄後にしっかりほめ、すぐに別の行動(おやつ・アイコンタクト・歩き出すなど)へ誘導することで「うんちよりも次の行動が楽しい」と学習させます。叱ると「隠すために食べる」悪循環につながりやすいため注意が必要です。
<環境の工夫>
食糞が“起こりにくい環境”をつくることも重要です。
・フードを見直す
消化の良いフードや高品質のタンパク源に切り替えると、便の質が改善し、においも落ち着きやすくなります。便に未消化物が残らないことは、食糞の大きな予防になります。
・運動・遊び・スキンシップをしっかり確保する
十分な刺激がある生活は、退屈・ストレスによる食糞の抑制につながります。
<補助的な方法>
行動や環境の見直しとあわせて使うことで、より改善につなげやすくなります。
・専用サプリ・苦味成分入りフードの併用
便の味を変えることで食糞を避けさせる製品もありますが、これだけで改善するケースは限られます。あくまで環境改善や行動アプローチと「併用する補助的手段」 として活用するのがおすすめです。
必要な対策は、その子の性格・生活環境・健康状態によって異なります。すべてを一度に完璧にやる必要はありません。できるところから少しずつ取り入れていきましょう。
動物病院での診察と治療の流れ
食糞はしつけだけでは説明がつかない場合もあり、背後に健康上の問題が隠れているケースもあるため、一度動物病院でチェックしておくと安心です。
<問診>
まずは、日常の行動や体調の変化について詳しくお聞きします。
・食糞が起こる頻度・タイミング
・排泄の様子(量・回数・便の形状)
・フードの種類・量・変更歴
・元気・食欲・体重の変化
・ストレス要因(環境の変化・留守番時間など)
飼い主様が気づかれた小さな変化も、原因を探る大切なヒントになります。
<検査>
問診内容に応じて、必要な検査を組み合わせて状態を確認します。
・便検査(寄生虫、未消化物、腸内環境など)
・血液検査(消化吸収の異常、膵臓・肝臓の働き、代謝異常など)
・必要に応じて画像検査などを追加
検査を行うことで「行動が原因なのか」「健康面に理由があるのか」を丁寧に切り分けることができます。
<治療・サポート>
検査で病気が見つかった場合には、その治療を進めていきます。
一方、行動面が主な原因と考えられる場合は、
・生活環境の改善
・フードの見直し
・行動療法の提案
・ストレス緩和のサポート
など、その子に合わせたプランを一緒に考えていきます。
まとめ
犬の食糞は、行動や生活環境、体の不調など、いくつかの要因が重なって起こることがあります。決して珍しい行動ではなく、叱るよりも「なぜそうなるのか」を知ることが改善への第一歩です。
ご家庭での工夫でよくなるケースもありますが、体調の変化が関わっていることもあります。しつけの問題と決めつけず、健康状態を一度確認してみるのがおすすめです。
八幡みなみ動物病院では、行動面と身体面の両方から丁寧に状態を確認し、その子に合った改善方法をご提案しています。「少し気になるな」と感じた段階で、どうぞお気軽にご相談ください。
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