犬の股関節形成不全|愛犬の歩行異常を見逃さない!
- 2024年8月8日
- 病気について
股関節形成不全は、特に若齢の大型犬によく見られる病気で、股関節が正常に発達しないために発生します。
軽度の股関節形成不全であれば、薬を使った内科治療を行うことで、日常生活をスムーズに送ることができますが、重度の場合は手術が必要になることがあります。
今回は、犬の股関節形成不全について、どのような病気なのか、その症状や治療方法について詳しく解説します。
■目次
1.股関節形成不全とは?
2.症状
3.原因
4.診断方法
5.治療方法
6.予防法とご家庭での注意点
7.まとめ
股関節形成不全とは?
犬は生まれたばかりの頃は骨格が未完成であり、2歳になるまでに骨格が完成します。
通常の股関節は、骨盤と後ろ足の骨がピッタリとはまることでスムーズに動きますが、股関節形成不全の場合は、骨格が完成する前に発育不全などが原因で異常が起こり、骨盤と後ろ足の骨の連結が緩むことでさまざまな症状が現れます。
通常、生後2歳以下の若い犬に発症することが多く、ほとんどの場合は左右両方の股関節に異常が生じます。
どの犬種にも発症する可能性がありますが、特にゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、ジャーマン・シェパード、ニューファンドランド、バーニーズ・マウンテンドッグなどの大型犬に多く見られます。
症状
股関節形成不全を引き起こすと、以下のような症状が現れます。
・後ろ足がふらつく
・歩くときに腰を振るようになる
・散歩を嫌がったり、途中で座りたがったりする
・うさぎ跳びのように跳ねるような歩き方をする
・起き上がった直後に歩き方がおかしくなる
・段差の上り下りやジャンプを嫌がる
・座るときに横座りになる
原因
股関節形成不全の原因として、遺伝的な要因が関係していると言われています。しかし、成長期の栄養状態や運動不足、肥満などもこの病気の発症に影響を与えることがあります。特に大型犬は成長が早いため、適切な栄養管理と適度な運動が重要です。
診断方法
ご自宅での様子などを問診した後に、後ろ足の筋肉や骨格に触って現在の股関節の状態を確認する整形学的検査を行います。次に、院内を自由に歩かせて歩行の様子を観察します。
もし股関節形成不全の疑いがある場合は、レントゲン検査を行い、股関節の状態や炎症の有無を詳しく調べます。
治療方法
治療方法には、内科治療と外科治療の2種類があります。
内科治療は痛みを和らげるために、鎮痛剤の服用やレーザー治療、マッサージなどを行います。
ただし、内科治療は股関節形成不全の原因である関節構造の異常を治すことはできません。あくまでも対症療法として、症状を和らげることが目的です。
根本的な治療としては、外科治療による手術が必要です。手術には大腿骨頭切除術、人工股関節置換術、三点骨盤骨切術などさまざまな手術方法があり、どの手術を行うかは、犬の月齢や症状、股関節の状態などから最適なものを選ぶ必要があります。
内科治療・外科治療のどちらを選んだ場合でも、進行を抑えるためには体重管理や運動制限などの保存療法も同時に行うことが大切です。
予防法とご家庭での注意点
股関節形成不全は遺伝的要因が関係しているため、完全に予防することが難しい病気です。特に大型犬の場合、遅くとも2歳までに整形学的検査を受けて、早期発見・早期治療に努めることが重要です。
また、肥満も股関節形成不全の要因の一つですので、適正な体重をキープするために、適切な食事管理と適度な運動を心がけ、肥満にならないよう注意しましょう。
まとめ
犬の股関節形成不全は2歳までに発症するケースが多いため、成長期にはバランスの取れたフードをしっかり食べ、適度な運動を行うことが大切です。また、子犬のうちから定期的に検査を受けて、早い段階で病気の兆候を見つけることが重要です。
重度になると、うまく歩けなくなるケースもありますので、歩き方や座り方に違和感がある場合は、なるべく早めに動物病院を受診するようにしましょう。
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