犬の腸閉塞|嘔吐や食欲不振は要注意!放置できない緊急サインとは
- 2025年7月16日
- 病気について
犬の健康を守るうえで、消化器の異変は見逃せない重要なサインです。特に、嘔吐や急な食欲不振が続く場合は「腸閉塞」という命にかかわる病気が隠れていることがあります。
腸閉塞は時間との勝負。発見が遅れると命に関わる危険があるため、早期の受診がとても大切です。
今回は、犬の腸閉塞について、主な原因や症状、治療の流れから日常でできる予防策まで詳しくご紹介します。
■目次
1.犬の腸閉塞とは?|命に関わる消化管のトラブル
2.見逃さないで!腸閉塞で見られる主な症状とは
3.診断と治療の流れ|手術が必要になることも
4.腸閉塞を防ぐには?|日常生活でできる予防策
5.まとめ
犬の腸閉塞とは?|命に関わる消化管のトラブル
腸閉塞とは、腸の一部が物理的にふさがれてしまい、食べたものや消化液、ガスなどが正常に通過できなくなる状態を指します。
この状態が続くと、腸が圧迫されて血流が悪くなり、最終的には壊死(細胞が死んでしまうこと)や穿孔(穴があくこと)を起こすおそれがあり、命に関わる非常に危険な疾患です。
<腸閉塞の主な原因>
腸閉塞はさまざまな要因で引き起こされますが、なかでも多いのが誤飲によるものです。ここでは、代表的な原因についてご紹介します。
・誤飲(おもちゃの破片、靴下、ビニール、石など)
・腸の腫瘍
・腸のねじれ(腸捻転)
・腸同士が入り込む「腸重積」
・手術後の癒着
腸閉塞は、若齢犬からシニア犬まで幅広い年齢層で発症することがあり、特に誤飲のリスクが高い若齢犬では注意が必要です。
見逃さないで!腸閉塞で見られる主な症状とは
腸閉塞の初期症状は、一見すると軽い体調不良にも見えがちです。しかし、進行すると命に関わることもあるため、次のような異変が見られた場合は特に注意が必要です。
・繰り返す嘔吐(未消化のフードや胆汁など)
・突然の食欲不振
・腹部の膨張や痛み(触ると嫌がる)
・ぐったりして元気がない
・排便がない、または異常な便(血便・粘液便)
腸閉塞は短時間で容態が急変することがあるため「しばらく様子を見る」は非常に危険です。数時間〜半日で手遅れになるケースもあります。
また、腸が壊死してしまうと命に関わる緊急手術が必要になり、たとえ手術で助かったとしても、その後に長期的な治療や管理が必要になることもあります。少しでも心配な症状があればすぐに動物病院を受診しましょう。
診断と治療の流れ|手術が必要になることも
腸閉塞が疑われる場合、動物病院では以下のような検査を行います。
・X線検査:ガスのたまり具合や異物の有無を確認
・超音波検査:腸の動きや閉塞部位の観察
・血液検査:脱水や炎症の程度を把握
治療は原因や状態に応じて異なります。軽度で自然排出が見込める場合には、点滴や薬での経過観察を行うこともありますが、多くの場合は外科手術が必要です。
<手術とその後の管理>
開腹手術により異物の除去や壊死した腸の切除・縫合を行います。入院期間は3〜7日程度が目安で、状態によって前後します。
術後は、合併症がなければ退院後の経過は比較的安定していますが、再発を防ぐための生活管理がとても重要です。
腸閉塞を防ぐには?|日常生活でできる予防策
腸閉塞は、日常のちょっとした工夫でリスクを大きく下げることができます。愛犬が毎日を安全に過ごせるように、身のまわりの環境を今一度見直してみましょう。
<誤飲を防ぐ生活環境の工夫>
愛犬は思いもよらないものを口にしてしまうことがあります。
以下のような対策で、誤飲による腸閉塞のリスクを減らすことができます。
・靴下やハンカチ、ビニール袋、小さなおもちゃなどは、届かない場所に片づける
・お留守番中は、サークルや誤飲防止グッズを活用して安全を確保する
・散歩中の拾い食いを防ぐため、リードコントロールや口輪の利用を検討する
<食事管理と早食い対策>
食事のときの「飲み込み癖」や食後の行動も、腸への負担に関係します。以下のようなポイントに気をつけましょう。
・フードを丸飲みしてしまう子には、早食い防止皿やパズルフィーダーなどを活用する
・食事を数回に分けて与え、消化の負担を軽減する
・食後すぐに走り回らないよう、10〜20分ほどは安静に過ごす時間を設ける
毎日のちょっとした工夫が、愛犬の健康を支えることにつながります。
「うちの子は大丈夫」と思わず、一緒に暮らす環境を見直してみることが、腸閉塞を防ぐ第一歩です。
まとめ
犬の腸閉塞は、ちょっとした嘔吐や食欲不振など、見慣れた症状の中に潜んでいることがあります。ですが、早めに異変に気づいて対処することで、良好な経過が期待できるケースもあります。
「いつもと様子が違うかも」と感じたときは、無理に様子を見ず、早めに動物病院へご相談いただくことをおすすめします。八幡みなみ動物病院でも、腸閉塞に関する診察・検査・治療に対応していますので、気になる症状がありましたらお気軽にご相談ください。
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