犬の皮膚の赤み、原因はノミ・ダニだけじゃない!季節・犬種別の総合対策ガイド
- 2025年7月10日
- 病気について
愛犬の皮膚が赤くなっているのを見つけたときに「これって、まさかノミ…?」と不安を感じたことのある飼い主様も多いのではないでしょうか。
犬の皮膚トラブルは非常に多く、その原因はノミやダニに限らず、アレルギーや細菌感染、乾燥などさまざまです。原因を正しく見極め、犬の体質や季節に応じたケアを行うことが、再発防止と快適な生活につながります。
今回は、犬の皮膚が赤くなる主な原因を5つに整理し、季節ごとの注意点や犬種別のリスク、対処法と予防のポイントまでを詳しく解説します。
■目次
1.犬の皮膚が赤くなる主な原因5選
2.季節ごとに注意したい皮膚トラブルの傾向
3.犬種ごとの皮膚トラブルの傾向
4.応急処置と受診の目安
5.よくある誤解とその真相
6.まとめ
犬の皮膚が赤くなる主な原因5選
1. 外部寄生虫(ノミ・マダニなど)
突然の赤みとかゆみがある場合は、ノミやマダニの寄生が疑われます。特に背中や腰まわり、耳の後ろなどに集中しやすく、かきむしるような仕草が特徴です。ノミに対する過敏反応で「ノミアレルギー性皮膚炎」になるケースもあります。
2. アレルギー(食物・環境)
ハウスダスト、花粉、食材などが原因で皮膚に炎症を起こすアレルギー反応が見られることもあります。左右対称に赤みが出ることが多く、顔・足先・脇・内股などに集中する傾向があります。
3. 細菌性皮膚炎(膿皮症)
皮膚のバリア機能が落ちたり、常在菌のバランスが崩れたりすると、ブツブツした発疹やかさぶた、ジュクジュクした湿疹が現れます。悪化すると独特のにおいを伴うこともあります。
4. 真菌性皮膚炎(マラセチア・カビなど)
皮膚に常在する真菌が過剰に増殖すると、べたつき・赤み・強いにおいを伴う皮膚炎が生じます。耳や足の間、しわの中など湿気がこもる部分に多く見られます。
5. 接触性皮膚炎
芝生や洗剤、シャンプーに含まれる成分などに触れることで起こる皮膚炎です。赤みやかゆみが局所的に出るのが特徴で、かぶれのような状態になることもあります。
季節ごとに注意したい皮膚トラブルの傾向
季節の変化は皮膚トラブルの発症や悪化に影響します。時期ごとの注意点を押さえておきましょう。
<春>
花粉や黄砂などのアレルゲンが増える時期で、アレルギー性皮膚炎が悪化しやすくなります。また、気温の上昇とともにノミやダニの活動も活発になり始める時期です。
<夏>
高温多湿の環境は、マラセチアや細菌の繁殖に最適な条件です。耳の中や指の間、しわの間などの湿った部分で炎症が起こりやすくなります。
<秋>
落ち葉や草に触れる機会が増え、接触性皮膚炎が発生しやすい季節です。また、季節の変わり目で免疫力が下がり、膿皮症が再発することもあります。
<冬>
空気が乾燥し、皮膚のバリア機能が低下することでフケやかゆみが目立ちやすくなります。暖房による湿度の低下も影響します。
犬種ごとの皮膚トラブルの傾向
体質や皮膚構造によって、皮膚トラブルを起こしやすい犬種もいます。代表的な犬種をいくつかご紹介します。
<柴犬>
アトピー性皮膚炎の好発犬種として知られています。体質的にアレルゲンに敏感な子が多く、季節で症状が変化しやすい傾向にあります。特に顔や足先の赤み、舐め壊しに注意が必要です。
<フレンチ・ブルドッグ/イングリッシュ・ブルドッグ>
皮膚のしわが多く通気性が悪いため、湿気がこもりやすく、しわの間に真菌や細菌が繁殖することによる皮膚炎がよく見られます。耳や顔、首まわり、股間部などが特に炎症の起こりやすい箇所です。
<シャーペイ>
非常にしわが多い犬種で、皮膚の中に湿気や汚れがたまりがちなため、慢性的な皮膚炎を抱えやすい体質です。マラセチア性皮膚炎と膿皮症が同時に発症することもあります。
<ゴールデン・レトリバー>
脂漏体質で皮脂の分泌が多く、マラセチア皮膚炎や膿皮症になりやすい傾向があります。耳の中や首元、胸部の赤みや湿疹に注意が必要です。
<トイ・プードル>
乾燥肌の子が多く、冬の乾燥やシャンプーのしすぎで皮膚の赤みやかゆみを引き起こすことがあります。日々の保湿ケアが重要です。
応急処置と受診の目安
赤みを見つけたときにまずできる応急処置は以下のとおりです。
・赤くなっている範囲やかゆみの程度をよく観察
・ぬるま湯で優しく洗って清潔なタオルで水分を拭き取る
・舐めたり引っかいたりしないようにエリザベスカラーなどで保護
ただし、以下のような症状がある場合は、すぐに動物病院を受診してください。
・赤みがどんどん広がっている
・眠れないほどかゆがる
・ジュクジュクした湿疹や膿がある
・発熱や食欲不振などの全身症状がある
・黒ずみや硬化など、皮膚の質感に変化がある
また、人間用のステロイドや市販の消毒薬を自己判断で使用するのは非常に危険です。犬の皮膚は人より薄く、誤った薬の使用でかえって悪化することがあります。
ご家庭でのケアには限界があるため、少しでも「おかしいな」と感じた場合は、迷わず動物病院で治療を受けましょう。
よくある誤解とその真相
【誤解1】かゆそうなときはシャンプーを増やせば治る?
→ 実は逆効果になることもあります。洗いすぎは皮膚のバリア機能を壊す原因になるため、頻度は獣医師の指示に従いましょう。
【誤解2】高級なフードにすればすぐよくなる?
→ フードの見直しが必要なこともありますが、必ずしもすべての皮膚トラブルが食事だけで改善するわけではありません。まずは原因の特定が大切です。
【誤解3】皮膚が赤くてもかゆがっていなければ放っておいてOK?
→ 赤みだけでかゆみがない場合でも、皮膚の奥で炎症や感染が進んでいることがあります。皮膚の変化を見逃さず、早めの相談を心がけましょう。
まとめ|皮膚の赤みは「見逃さない」ことがカギです
犬の皮膚の赤みは、ノミやダニだけでなく、アレルギー、真菌、細菌、接触刺激、乾燥など多くの原因が考えられます。さらに、季節や犬種特有の体質も症状の出方に大きく関わっています。
飼い主様にできる大切なことは、「いつもと違うな」と感じたその瞬間に、行動に移すことです。皮膚トラブルは早期発見・早期治療がカギとなります。
当院では、体質や生活環境に合わせたケア・治療をご提案しております。皮膚の赤みやかゆみが気になったときは、どうぞお気軽にご相談ください。
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