犬と猫の消化器型リンパ腫について|リンパ腫の中でも予後が悪い病気
- 2024年1月15日
- 病気について
リンパ腫とは高齢の犬や猫によくみられる血液のガンで、発生する部位により、消化器型リンパ腫、縦隔リンパ腫、鼻腔リンパ腫などに分類されます。
消化器型リンパ腫は消化器に腫瘤ができるタイプで、さまざまな消化器症状を引き起こします。また、他のリンパ腫と比べると予後が悪いため、早期発見・早期治療が何よりも大切です。
今回は、犬と猫の消化器型リンパ腫について解説していきます。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
原因はまだはっきりとはわかっていません。しかし、遺伝的要因が影響しているのではないかと考えられています。
また、猫の場合はウイルス感染が関係しているリンパ腫もありますが、消化器型リンパ腫ではウイルス感染との関係性はほとんどないと考えられています。
症状
初期の段階では無症状であることもありますが、一般的には嘔吐や下痢、食欲不振、体重減少など、他の病気でもみられるような消化器症状が慢性的にみられます。
また、消化器症状が長く続くと低蛋白血症を引き起こすこともあります。
診断方法
消化器症状を引き起こす原因は多岐にわたるため、まずは血液検査やレントゲン検査、超音波検査などを行います。このとき、血液検査で数値の異常がみられたり、画像検査で消化器に腫瘤が認められたりしますが、残念ながらこの段階ではまだ消化器型リンパ腫と断定することはできません。
そのため、組織検査による診断を行います。当院では内視鏡を使って消化管内を観察し、粘膜組織を一部採取することにより詳細な診断を行っています。
治療方法
主に化学療法(抗癌剤治療)を行いますが、他のリンパ腫と比較すると反応が悪く、予後はあまり良くありません。ただし、限局的に発生している場合は化学療法を行う前に手術で病変部を切除することで、治療の反応がよくなることもあります。
しかし、かなり進行している状態では体力も落ちているため、抗癌剤の副作用に耐えられるかどうかを考慮しながら治療方法を選択していく必要があります。
また、無治療だと余命は1〜2ヶ月と短いですが、猫の場合は悪性度が低いタイプのリンパ腫もあり、この場合は2年以上生きられるケースもあります。
予防法やご家庭での注意点
消化器型リンパ腫は予防が難しいため、早期発見・早期治療が大切です。特に中高齢の犬や猫に発生することが多いため、シニア期に突入したら定期的に健康診断を受けるようにしましょう。
まとめ
消化器型リンパ腫はリンパ腫の中でも予後が悪いため、早期発見・早期治療を行うことが何よりも大切です。無症状のまま進行するケースもあるため、若齢期においては1年に1回、シニア期に突入したら半年に1回を目安に健康診断を受けるようにしましょう。
また、消化器症状を引き起こすのは消化器型リンパ腫だけではありません。そのため、なんとなく消化器症状が続いているなど、なにか心配な症状がみられる場合は一度当院までご相談ください。
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