犬と猫の消化管腫瘍について|高齢の犬や猫で多く発生する
- 2023年10月16日
- 病気について
消化管腫瘍とは胃や腸に発生する腫瘍のことをいいます。犬ではリンパ腫や腺癌が、猫では肥満細胞腫やリンパ腫、腺癌の発生が多く、いずれも高齢の動物に多くみられます。
主に消化器症状がみられますが、加齢によるものとの見分けがつかずに受診が遅れてしまうケースもあるため、いざという時に早期に受診ができるよう正しい知識を身につけておくことが大切です。
今回は、そんな犬や猫の消化管腫瘍について解説していきます。
目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
消化管腫瘍のはっきりとした原因はわかっていませんが、高齢の犬や猫で多く発生します。
また、メスよりもオスの方が発生率が高く、さらに犬ではコリーやジャーマン・シェパードで多く発生し、猫ではシャム猫に多く発生することがわかっています。
症状
腫瘍の種類や消化管のどこに腫瘍ができているのかなどによって症状は若干異なりますが、主な症状は消化器症状で、嘔吐や下痢、血便、食欲不振、体重減少などがみられます。
また、大きくなった腫瘍が消化管を塞いでしまったり、消化管に穴が空いて腹膜炎を起こしてしまったりすることもあります。
消化器症状は加齢によってもみられることがありますが、嘔吐や下痢を繰り返している場合や頻度が増えている場合、食事とは関係なく嘔吐している場合、ぐったりしている場合には消化管腫瘍を疑い、すぐに病院を受診しましょう。
診断方法
以下のような検査を行って診断をします。
・触診
・レントゲン検査
・超音波検査
・血液検査
・生検
治療方法
腫瘍に対する治療方法の3本柱は①外科手術 ②抗がん剤治療 ③放射線治療の3つですが、消化管腫瘍に対しては主に外科手術や抗がん剤治療が行われます。治療方針は腫瘍の種類や進行具合によって異なり、検査結果から外科手術を行うのか、抗がん剤治療を行うのか、あるいは外科手術と抗がん剤治療を併用するのかなどを判断します。
また、大きくなった腫瘍が消化管を塞いでしまったり、消化管に穴が空いて腹膜炎を起こしてしまったりしている場合は短時間で命に関わることもあるため、緊急手術が行われます。
下記のページで、当院にて緊急的に腸管切除術を行った際の症例を掲載しておりますので、合わせてご覧ください。
※手術中の画像を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください
当院における消化管腫瘍の手術症例はこちら
予防法やご家庭での注意点
消化管腫瘍は原因がはっきりわかっていないことから予防が難しいため、いかに早く病気に気がつき治療を始められるかが重要です。そのため、愛犬愛猫が7歳を超えたら、半年に1回は健康診断を受けるようにしましょう。
また、ご自宅でも愛犬、愛猫の健康チェック(元気はあるか、食欲はあるか、体重は落ちていないか、嘔吐や下痢をしていないかなど)を習慣づけ、いつもとなにか様子が違うと感じたら念のためすぐに動物病院を受診しましょう。
まとめ
犬や猫の消化管腫瘍の症状は加齢性の変化と間違われやすく、治療が遅れてしまうことがあります。病気に気がついた頃にはすでにかなり進行していたという事態を避けるためにも、定期的な健康診断と日々の健康チェックによって、早期発見と早期治療を心がけましょう。
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<参考>
https://www.jstage.jst.go.jp/article/dobutsurinshoigaku/23/4/23_162/_pdf/-char/ja