犬と猫の子宮蓄膿症について|高齢で避妊手術を行っていない犬や猫に多く見られる
- 2023年10月13日
- 病気について
子宮蓄膿症とは、細菌感染により子宮内部に膿が溜まってしまう病気です。高齢で避妊手術を行っていない犬や猫に多く見られ、そのままにしておくと多臓器不全や敗血症、子宮破裂などを引き起こし、最悪の場合は命に関わることもある緊急性の高い病気です。
今回はそんな犬や猫の子宮蓄膿症について、解説していきます。
目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
原因菌は主に大腸菌やブドウ球菌などの「常在菌」です。常在菌は健康な犬や猫の体内にもいるごくありふれた菌ですが、発情周期に伴って免疫力が下がるとこれらの菌が繁殖しやすくなり子宮蓄膿症が引き起こされます。
症状
初期の段階では目立った症状は見られませんが、次第に以下のような症状が見られるようになります。
・多飲多尿
・嘔吐
・元気の消失
・食欲の減退
・腹部膨満
・陰部を気にして舐める
・陰部からの排膿
このうち多飲多尿は犬でよく見られる症状ですが、猫ではあまり見られません。
また、子宮蓄膿症をそのままにしてしまうと菌や菌の毒素が全身に回って多臓器不全や敗血症を引き起こすことがあります。さらに、子宮が膿でパンパンになると、最悪の場合子宮が破裂して腹膜炎を引き起こすこともあります。
診断方法
血液検査やレントゲン検査、超音波検査などを行い、総合的に診断をします。
治療方法
薬剤の投与による治療法と手術による治療法があります。しかし、薬剤の投与は手術ができない場合や術前の全身状態を改善させるために行い、基本的には手術を選択します。術式自体は一般的な避妊手術とほぼ同じで膿が溜まった子宮と卵巣の摘出を行いますが、高齢で発生しやすいこと、子宮が破れやすいこと、全身状態が悪いケースもあることなどから、健康な状態で手術を行うときよりもリスクは高くなります。
下記のページで、当院にて子宮と卵巣の摘出を行った際の症例を掲載しておりますので、合わせてご覧ください。
※手術中の画像を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください
当院における子宮蓄膿症の手術症例はこちら
予防法
予防には避妊手術が有効です。避妊手術は乳腺腫瘍や子宮内膜炎、子宮がんなどさまざまな病気の予防にも役立ちます。そのため、将来的に子どもを作る予定がないのであれば、生後6ヶ月を過ぎたらなるべく早めに避妊手術を受けるようにしましょう。
まとめ
子宮蓄膿症は猫よりも犬で多く見られ、菌や菌の毒素が全身に回ってしまうと命を脅かしてしまうこともあります。しかし、子宮蓄膿症は避妊手術を行うことで予防が可能であるため、出産の予定がない場合は早めに避妊手術を行うようにしましょう。
また、子宮蓄膿症は早期発見・早期治療が大切です。そのため、避妊手術を行っていない高齢の犬や猫で子宮蓄膿症が疑われる症状が見られた場合は、様子を見ずにすぐに動物病院を受診してください。
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