犬の大腿骨頭壊死症(レッグ・ペルテス)|成長期の小型犬に多い病気
- 2024年3月13日
- 病気について
この病気は、主に成長期にある小型犬に見られ、大腿骨の一部である大腿骨頭の血液供給が不足し、その結果として骨の壊死や変形が生じるというものです。
遺伝的な要因、栄養状態、外傷など様々な要素が関与している可能性が指摘されていますが、犬種や成長の段階によって発症のリスクが変わることが知られています。
今回は犬の大腿骨頭壊死症(レッグ・ペルテス)について、症状や治療方法、予防方法などを詳しく解説します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
犬の大腿骨頭壊死症、通称レッグ・ペルテスの原因は、現在のところ完全には解明されていませんが、発生にはいくつかの要因が関与していると考えられています。
主に小型犬種で発症することが多く、遺伝的な素因が大きく影響している可能性があります。特定の犬種、例えばトイ・プードル、ペキニーズ、シーズー、ダックスフンド、パグ、ポメラニアンなどがこの疾患にかかりやすいとされています。
また、成長期の生後3カ月から1歳前後の若い犬に多く見られることから、成長過程での栄養不足や外傷も原因の一つとして疑われています。
症状
大腿骨頭の血流減少が原因で起こる炎症や壊死は、患部側の後ろ足に激しい痛みを引き起こします。
散歩時に立ち止まる頻度が高まり、痛みから足をかばう歩行や、片足を持ち上げる姿が見られるようになるのが初期の兆候です。病気が進行すると、散歩への意欲が低下し、痛みで鳴くことが多くなり、患部側の後ろ足は徐々に筋肉が萎縮して細くなっていきます。最終段階では、大腿骨頭の壊死や骨折により強い痛みが発生し、これが原因で活動量が減少し、食欲も落ちることがあります。
さらに、レッグ・ペルテス病と症状が類似する病気として、膝蓋骨脱臼(パテラ脱臼とも呼ばれる)があります。
このため、正確な診断のためには触診やレントゲン検査を行い、膝蓋骨脱臼の有無を確かめることが重要です。
診断方法
診断には以下のような様々な方法を組み合わせて行います。
・歩様検査
歩行に異常があるかどうかを確認するため、歩様検査が行われます。痛みを感じるために足をかばうような歩行異常が見られるかどうかが重要です。
・触診
患部周辺の触診を行い、痛みを感じているかどうかを確認します。特に腰の領域に痛みがあるかどうかも調べられます。
・神経学的検査
脳疾患や椎間板ヘルニアなどの神経系の問題で痛みを感じている可能性があるかどうかを評価します。反射や姿勢反応に異常がないかを確認します。
・レントゲン検査
大腿骨頭の骨融解や変形、壊死の有無を確認するためにレントゲン検査が行われます。初期の段階では異常が確認しにくいこともあるため、より評価しやすいポジションでのレントゲン撮影や、CT検査やMRI検査などの高性能な画像診断ツールが使用されることもあります。
診断にはこれらの方法を組み合わせ、病気の程度や影響を評価します。
治療方法
治療方法は、病気の進行度合いや状態に応じて選択され、大きく内科治療と外科治療に分けられます。
【内科治療】
・消炎鎮痛剤とサプリメント
軽度な症状や外科治療を受けることが難しい場合には、消炎鎮痛剤や関節保護のためのサプリメントが処方されます。痛みを軽減し、関節の健康をサポートします。
・温熱療法
温熱療法は炎症の軽減に役立ちます。温かい湿布や温水浴などが行われます。
・運動制限
愛犬の運動を制御し、無理な動きを避けるようにします。
【外科治療】
・大腿骨頭切除術
変形や壊死した大腿骨頭を切除する手術です。患部の骨を取り除くことで、痛みの源を排除します。
・股関節全置換術
股関節全置換術は、大腿骨頭を人工関節に置き換える手術です。これにより正常に歩行できるようになります。
手術後はリハビリが非常に重要であり、鎮痛剤の使用と共に足のマッサージ、ストレッチ、歩行の訓練が行われます。
予防法やご家庭での注意点
レッグ・ペルテスの発症を完全に防ぐ方法は現在のところありません。しかし、発症リスクを低減するためには、適切な栄養と運動を心がけることが重要です。また、愛犬の歩行様式に異常が見られた場合は、早期に獣医師の診察を受けましょう。
まとめ
犬の大腿骨頭壊死症(レッグ・ペルテス)は、特に小型犬に見られる疾患で、適切な治療と管理によって愛犬の生活の質を保つことが可能です。飼い主様が愛犬の健康状態に注意を払い、異常があれば早期に動物病院を受診することが、愛犬を健康で幸せに保つための鍵となります。
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