犬のてんかん発作|症状・正しい対処法・治療まで獣医師が解説
- 2026年4月27日
- 病気について
突然、愛犬が倒れたり、体が硬直したり、ガクガクと震えたりする様子を目の当たりにすると、多くの飼い主様が大きな驚きと不安を感じられるかと思います。
「てんかん発作」は、予測が難しく突然起こることがある症状のひとつです。しかし、事前に正しい対処法を知っておくことで、発作時のケガや悪化のリスクを減らし、愛犬をより安全に守ることにつながります。
今回は、犬のてんかん発作の症状、前兆、発作時の具体的な対処法、そして動物病院での検査や治療について解説します。

■目次
1.犬のてんかん発作とは|どんな症状が起こるのか
2.発作の前兆・注意サイン|こんな変化は要チェック
3.発作が起きたときの正しい対処法
4.てんかんの原因と、動物病院で行う検査・治療
5.まとめ|「知っているかどうか」が、いざという時の安心につながる
犬のてんかん発作とは|どんな症状が起こるのか
てんかん発作とは、脳の電気信号のバランスが一時的に乱れることで起こる発作のことを指します。発作の現れ方には個体差がありますが、次のような症状が見られることがあります。
・全身のけいれんや体の硬直
・足をバタつかせる、泳ぐような動き
・意識がなくなる、呼びかけに反応しない
・よだれが増える、失禁する
・顎をカクカクと動かす
・発作後にぼんやりする、歩きにくくなる(発作後状態)
発作の持続時間は数十秒から数分程度が多いのですが、長さや頻度には大きな個体差があります。また、発作のあとに一時的に落ち着きがなくなったり、ふらついたりする状態が見られることもあります。
<「失神」や「ふらつき」との違い>
なお、似た症状として、失神や一時的なふらつきが見られることもあります。失神は脳への血流が一時的に低下することで意識を失う状態で、けいれんを伴わないことが多い傾向にあります。また、一時的なふらつきの場合は意識が保たれていることが多く、発作とは状態の現れ方が異なることがあります。
ただし、見た目だけで正確に見分けることは難しいため、発作の可能性がある場合や判断に迷う場合は、早めに動物病院で確認することが大切です。
発作の前兆・注意サイン|こんな変化は要チェック
てんかん発作は突然起こることも多いものですが、発作の直前に次のような行動の変化が見られる場合もあります。
・落ち着きがなくなり、そわそわする
・飼い主様のそばから離れなくなる
・震える、鳴く、隠れようとする
・いつもと違う不安そうな様子になる
ただし、すべての犬に前兆があるわけではなく、何のサインもなく急に発作が起こるケースも少なくありません。
<発作時に記録しておきたいポイント>
発作の様子は見た目だけでは原因の判断が難しいことも多いため、発作が起きた際は次のような点を記録しておくと、診断や今後の治療方針を考えるうえで大切な手がかりとなります。
・発作の様子(動画)
・発作の時間
・発作の回数や間隔
特に動画の記録は、その場にいなかった獣医師が発作の状態を具体的に把握するうえで非常に役立つため、可能な範囲で落ち着いて記録しておくことをおすすめします。
発作が起きたときの正しい対処法
実際に発作が起きたときは、慌てず落ち着いて対応することが何より大切です。
<まず行っていただきたいこと>
発作中は意識がない状態のことも多いため、刺激を減らし、安全な環境を整えることを優先しましょう。
・周囲の物をどけて、ぶつかってケガをしないようにする
・静かで少し暗めの環境に整える
・発作の時間を測る(持続時間を把握する)
<やってはいけないこと>
次のような行動は、かえって危険につながることもあるため注意が必要です。
・口に手を入れる
・無理に体を押さえつける
・水や薬を無理に飲ませる
<すぐに受診・救急相談が必要なケース>
発作が長く続く場合や短時間に繰り返す場合は、緊急性が高いおそれがあります。次のような場合は、できるだけ早めに動物病院へご相談ください。
・発作が5分以上続いている
・短時間に何度も発作が起こる
・発作後も意識が戻らない、立てない
・初めての発作である
・シニア期の犬や持病がある場合
判断に迷うときは様子を見るよりも、早めに動物病院へご相談いただくことが安心につながります。
てんかんの原因と、動物病院で行う検査・治療
てんかん発作は「てんかん」という病気そのものによって起こる場合もあれば、別の病気が関係していることもあります。そのため、原因を丁寧に見極めながら検査や治療を進めていくことが大切です。
てんかん発作の背景には、さまざまな原因が考えられます。
<主な原因の分類>
・特発性てんかん(はっきりした原因が特定できないもの)
・脳の病気(腫瘍・炎症・外傷など)
・代謝異常や内科的な病気
・シニア期に見つかる基礎疾患
若い犬では特発性てんかんが疑われることも多く、シニア期の犬では別の病気が関係しているケースもあります。
<動物病院での検査の流れ>
まずは、発作の様子や頻度について詳しくお話をうかがい、必要に応じて検査を進めていきます。
一般的には、問診(発作の状況や経過の確認)やご持参いただいた動画の確認、血液検査などを行い、全身状態や他の病気の可能性を確認します。
さらに詳しい評価が必要な場合には、画像検査(MRIなど)を検討することもあります。
<治療の考え方>
治療は、発作の頻度や重さ、生活への影響を踏まえて検討します。発作が繰り返される場合には、飲み薬による治療で発作をコントロールしていく方法が選択されることが多く、適切に管理することで安定した生活を送れる犬も多くいます。
また、治療を継続していくうえでは、定期的な通院による経過の確認や、副作用の有無のチェック、必要に応じた投薬量の調整が大切になります。こうした積み重ねによって、その子の状態に合った安定した管理を目指していきます。
なお、ご自身の判断でお薬を中断してしまうと発作が悪化するおそれがあるため、気になる変化がある場合は自己判断で調整せず、動物病院へご相談いただくことが重要です。
<日常生活で気をつけたいポイント>
てんかんは日々の生活管理も大切な病気のひとつです。発作の再発リスクを抑え、安定した状態を保つためにも、無理のない範囲で生活環境を整えていくことが重要になります。
・生活リズムを整える
・十分な睡眠を確保する
・強いストレスを避ける
・決められた投薬を継続する
なお「てんかんになると寿命が短くなるのでは」と不安に感じられる飼い主様もいらっしゃいます。しかし、適切な治療と継続的な管理によって、発作をコントロールしながら安定した生活を長く送ることは十分に可能です。
大切なのは、気になる変化があれば早めにご相談いただき、その子の状態に合わせて動物病院と一緒に継続的な管理を行っていくことです。
まとめ|「知っているかどうか」が、いざという時の安心につながる
てんかん発作は突然起こることがあるからこそ、事前に症状や正しい対処法を知っておくことが、愛犬の安全につながります。また、てんかんは継続的な管理が大切な病気でもあります。発作の頻度や体調の変化を丁寧に見守りながら、その子に合った治療を続けていくことで、安心して生活できる状態を目指すことができます。
八幡みなみ動物病院では、発作に関するご相談から検査、継続的な管理まで、飼い主様と一緒に治療方針を考えながら丁寧にサポートしています。「発作かもしれない」「様子を見てよいのか迷っている」といった段階でも構いませんので、気になる症状が見られた際は、どうぞお早めにご相談ください。
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