フィラリア予防が通年推奨に│変わりゆく予防と管理方法
- 2025年4月16日
- 病気について
フィラリア症は、犬や猫に深刻な健康被害をもたらす寄生虫病です。これまでは春から秋にかけて予防することが一般的でしたが、近年の気候変動により蚊の活動期間が長くなり、冬でも感染リスクがゼロではなくなってきています。特に北海道や東北など寒冷地でも、これまでの予防スケジュールの見直しが必要ともいわれています。
今回は、フィラリア症の危険性や通年予防の必要性、具体的な予防方法について獣医師が詳しく解説します。
■目次
1.フィラリア症とその危険性
2.なぜ通年予防が推奨されるのか
3.フィラリア予防の具体的な方法
4.通年予防で気をつけるポイント
5.よくある質問
6.まとめ
フィラリア症とその危険性
フィラリア症は「犬糸状虫」という寄生虫が蚊を媒介して体内に侵入し、心臓や肺動脈に寄生する病気です。感染が進行すると、以下のような症状が現れることがあります。
・咳が増える
・元気がなくなる
・散歩を嫌がる
・食欲が落ちる
重症化すると血流障害や心不全を引き起こし、命に関わることもあります。また、治療には時間と費用がかかるため、予防が何よりも大切です。
なぜ通年予防が推奨されるのか
これまでフィラリア予防は「蚊の活動期間」にあわせて行われてきました。しかし、気候変動により蚊の活動時期が長くなり、冬でも感染リスクがあることが判明しています。また、室内飼育の場合でも、窓の開閉や玄関の出入りで蚊が侵入することがあるため、完全にリスクを排除することは難しいのが現状です。
通年予防はこうしたリスクを最小限に抑えるだけでなく「うっかり投薬を忘れてしまった」というリスクも軽減できます。予防の習慣を一年中続けることで、より確実に愛犬・愛猫を守ることができるのです。
フィラリア予防の具体的な方法
フィラリア症の予防薬にはいくつかの種類があります。
・内服薬(錠剤・チュアブルタイプ)
月に1回の投与で予防できます。おやつ感覚で食べられるものもあり、投薬しやすいのが特徴です。
・スポットオンタイプ(皮膚に塗布するタイプ)
月1回、首筋などに滴下する方法で、経口投与が難しい場合に適しています。
・注射タイプ
1回の注射で1年間効果が持続します。動物病院で予防が完了するため、忙しい飼い主にも便利な選択肢です。
どのタイプが適しているかは、愛犬・愛猫の性格や生活環境に合わせて獣医師と相談しながら決めることが大切です。また、毎年の血液検査で感染状況を確認しながら継続することが推奨されます。
通年予防で気をつけるポイント
通年でフィラリア予防を行う場合、定期的な管理と体調チェックが欠かせません。以下のポイントを押さえておきましょう。
<投薬スケジュールの管理>
予防薬は定期的に投与することで効果を発揮します。カレンダーアプリの通知機能などを活用し、忘れずに投与できるようにしましょう。
<体重のチェック>
成長期の犬や体重の増減がある場合は、薬の適正量が変わるため、定期的に測定することが重要です。
<副作用の確認>
副作用として嘔吐やアレルギー反応が現れることがありますので、異常を感じた場合はすぐに動物病院へ相談してください。
よくある質問
Q. フィラリア予防薬の種類を変更する場合、どのタイミングが良いですか?
現在使用している薬の持続期間や、次の薬との相性を考慮し、獣医師と相談しながら切り替えましょう。
Q. 室内飼いの犬や猫も予防する必要がありますか?
室内で過ごしていても、蚊が完全に入らないとは限りません。室内飼育でも通年予防が推奨されます。
Q. 予防を中断してしまった場合はどうすればいいですか?
予防を中断している間に感染しているおそれがあるため、再開前に必ず血液検査を受けましょう。
まとめ
フィラリア症は、犬や猫の命を脅かす深刻な病気ですが、適切な予防を行えばほぼ100%防ぐことができます。近年の気候変動の影響で蚊の活動期間が長くなったことを踏まえ、これまでの季節予防から「通年予防」への移行が推奨されるようになっています。
フィラリア予防薬には、内服薬・スポットオン・注射タイプなどさまざまな種類があり、それぞれのライフスタイルに合った方法を選ぶことが大切です。獣医師と相談しながら、愛犬・愛猫に最適な予防方法を見つけましょう。
また、定期的な血液検査や体重管理を行うことで、より確実な予防が可能になります。フィラリア症は「治療よりも予防が大切な病気」です。愛犬・愛猫が健康に暮らせるよう、一年を通して適切な管理を続けていきましょう。
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