犬がお尻を擦るのはなぜ?原因と対処法・受診の目安を獣医師が解説
- 2026年4月27日
- 病気について
愛犬が床にお尻をズリズリと擦っていたり、座ったまま前に進むような“お尻歩き”をしていると、「かゆいのかな?」と心配になることもあるのではないでしょうか。
一時的な違和感で済むこともありますが、実際にはかゆみや炎症、肛門腺のトラブルなどが関係しているケースも多く見られます。そのまま様子を見ているうちに症状が強くなってしまうこともあるため「なぜ起きているのか」を知り、適切に対応することが大切です。
今回は、犬がお尻を擦るときに考えられる原因や、ご家庭でできる対処法、受診の目安について解説します。

■目次
1.犬が「お尻を擦る」とはどんな行動?|よく見られるサイン整理
2.犬がお尻を擦る主な原因|タイプ別に整理
3.ご家庭でできる対処と、受診が必要なサイン
4.動物病院で行う診察・肛門腺ケア・治療の流れ
5.まとめ
犬が「お尻を擦る」とはどんな行動?|よく見られるサイン整理
ユニークな動きに思わず微笑んでしまうこともあるかもしれませんが、次のような行動は多くの場合、体の違和感を表すサインです。
・床やカーペットにお尻を擦りつける
・前足だけで進む「お尻歩き」をする
・しっぽの付け根や肛門周囲をしきりに舐める、噛む
・座り方が不自然で落ち着かない
このような行動が一度だけ見られる場合は、軽い違和感であることもありますが、繰り返し見られる場合や、頻度が増えている場合は注意が必要です。これらは「かゆい」「違和感がある」「痛みがある」といったサインとして表れていることが多いため、変化の続き方にも注目してみましょう。
犬がお尻を擦る主な原因|タイプ別に整理
お尻を擦る行動の背景には、いくつかの原因が考えられます。ここでは代表的なものをご紹介します。
<肛門腺のトラブル(最も多い原因)>
犬の肛門の左右には「肛門腺(こうもんせん)」と呼ばれる分泌腺があり、においのある分泌物がたまる袋のような構造になっています。通常は排便時などに自然に排出されますが、うまく出せないと中にたまってしまい、違和感やかゆみの原因になります。
特に、
・小型犬
・シニア犬
・運動量が少ない犬
では起こりやすく、放置すると肛門嚢炎(炎症)や破裂につながることもあるため、注意が必要です。
<寄生虫(回虫・条虫など)>
腸内寄生虫がいる場合、肛門周囲に強いかゆみが出ることがあります。
・お尻を頻繁に擦る
・便の状態が変わる(下痢など)
・体重や食欲に変化がある
といった変化が見られることもあり、お散歩の環境や生活環境によっては感染リスクが高まることもあります。
<アレルギー・皮膚炎>
食事や環境によるアレルギー、皮膚炎によって、肛門周囲にかゆみが出ることもあります。
・赤みや湿疹
・脱毛やベタつき
・体の他の部位もかゆがる
などの様子が見られる場合は、全身的な皮膚トラブルの一部として表れている可能性があります。
<その他(ケガ・異物・腫瘍など)>
まれではありますが、ケガや異物、腫瘍などが関係していることもあります。次のような場合は、早めの受診が重要です。
・強い痛みがある
・出血している
・しこりが触れる
このように、お尻を擦る行動の背景にはさまざまな原因が考えられます。ご家庭での見きわめは難しいため、できるだけ早い段階で動物病院で状態を確認することが大切です。
ご家庭でできる対処と、受診が必要なサイン
気になる行動が見られたとき、ご家庭でできるケアと受診の目安を分けて考えていきましょう。
<ご家庭でできること>
まずは無理のない範囲で、次のようなケアを行うことができます。
・肛門周囲を清潔に保つ(ぬるま湯や低刺激のケア用品を使用)
・舐めすぎを防ぐ(エリザベスカラーなど)
・フードや生活環境を見直す(必要に応じて動物病院で相談)
なお、肛門腺絞りは自己流で行うと、痛みや炎症を引き起こすこともあるため注意が必要です。慣れていない場合は無理に行わず、動物病院での対応をご検討ください。
<早めの受診をおすすめするサイン>
次のような様子が見られる場合は、早めのご相談をおすすめします。
・何度も繰り返しお尻を擦る
・赤み、腫れ、出血、においが強い
・触ると嫌がる、痛がる
・元気や食欲が落ちている
・数日経っても改善しない
・これまでにない強い症状が見られる
「様子を見ても大丈夫かな」と迷うときこそ、一度ご相談いただくと安心です。
動物病院で行う診察・肛門腺ケア・治療の流れ
動物病院では、お尻を擦る原因がどこにあるのかを、ひとつずつ丁寧に確認していきます。
<基本的な診察>
まずは、これまでの経過やご自宅での様子をうかがいながら、実際の歩き方や仕草、肛門周囲の状態を確認し、違和感の原因となりそうなポイントを整理していきます。
<肛門腺の確認と処置>
肛門の左右にある肛門腺の状態を確認し、分泌物がたまっている場合には、状況に応じて次のような処置を実施します。
・肛門腺絞り:たまっている分泌物をやさしく排出します
・分泌物の状態確認:色やにおい、性状を見ながら炎症の有無を確認します
・洗浄:必要に応じて、内部を洗い流して清潔な状態に整えます
炎症や感染が見られる場合には、状態に応じた治療をあわせて行います。
<必要に応じた検査・治療>
肛門腺以外の原因が疑われる場合には、状態に応じて寄生虫や皮膚の検査を行い、原因の特定につなげます。
また、体質的に肛門腺がたまりやすい子もいます。その場合は、定期的にケアを行うことで、トラブルの予防につながることがあります。ご自宅でのケアについても、無理のない方法をご提案しています。
動物病院を「症状が出たときだけでなく、日常的なケアの場」としてご活用いただくことで、トラブルの予防や早期対応につながります。
まとめ
犬がお尻を擦る行動は、体の違和感やトラブルを知らせるサインであることが少なくありません。原因を知り、適切に対応することで、症状の悪化を防ぎやすくなります。
八幡みなみ動物病院では、状態を丁寧に確認しながら、その子に合ったケアや治療をご提案しています。肛門腺のケアも含め、日常の中で気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
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