犬の嘔吐や下痢に要注意!|考えられる原因と受診のタイミング
- 2024年9月26日
- 病気について
愛犬が嘔吐や下痢をしていると、飼い主様としてはとても心配になりますよね。これらの症状は、一時的な体調不良の場合もありますが、時には深刻な病気のサインであることもあり、適切に見極めることが大切です。
今回は、犬の嘔吐や下痢の主な原因や、ご自宅で観察すべきポイントについて詳しく解説します。
また、どのような状況で動物病院への受診が必要になるのかについてもご紹介します。
■目次
1.犬の嘔吐や下痢の一般的な原因
2.嘔吐と下痢の症状の見極め方
3.獣医師に相談すべき症状と状況
4.予防法と日頃の注意点
5.まとめ
犬の嘔吐や下痢の一般的な原因
犬で嘔吐や下痢を引き起こす原因として、以下のものが挙げられます。
・食べすぎ
フードの量を適切に管理せずに与えると胃や腸に負担がかかり、結果的に嘔吐や下痢を引き起こすことがあります。
さらに、食べすぎは肥満にもつながるため、日々の食事量には十分気をつけましょう。
・不適切な食事
不適切な食事も消化器に影響を与えます。フードの使用期限を守らない場合や、保存状態が悪い場合、あるいは人間の食べ物である脂っこい料理を与えると、犬の胃腸に負担がかかり、嘔吐や下痢を引き起こしやすくなります。
・ストレス
特に新しい環境に来たばかりの犬は大きなストレスを感じやすいです。遊ぶ時間が不足している場合や、引っ越しなどの環境の変化もストレスの原因となり、消化器の不調として現れることがあります。
・寄生虫の感染
他の犬や母犬が寄生虫に感染している場合、便や母乳、胎盤を通して愛犬にも感染するリスクがあります。
特に子犬は症状が強く現れることが多いため、注意が必要です。
・異物の誤飲誤食
中毒を引き起こすチョコレートなどの食品だけでなく、プラスチックや金属、ひもなど、身の回りのものを誤って飲み込んでしまうと、消化器に問題が起こることがあります。
・アレルギー
食物アレルギーを持っている場合、皮膚のかゆみとともに消化器症状が現れることがあります。
アレルゲンとなる食品としては、肉や卵、牛乳、小麦、大豆、トウモロコシなどが代表的です。
他にも、嘔吐や下痢は細菌やウイルスの感染による胃腸炎、膵炎・膵外分泌不全などの膵臓の病気、肝臓・胆嚢の病気、腎臓病、腫瘍、子宮蓄膿症などでも見られることがあります。
嘔吐と下痢の症状の見極め方
嘔吐や下痢と一言で言っても、その程度や原因はさまざまです。ご家庭で様子を見ても問題がない場合もあれば、早めに動物病院での診察が必要な場合もあります。
ここでは、症状を見極める際のポイントをお伝えしますので、受診のタイミングの目安として参考にしてください。
<単なる一時的な不調>
以下のような場合は、軽度の不調であることが多く、ご自宅で様子を見ても問題ないことがあります。
・症状が1~2日以内に治まる
・他に目立った症状がない
・元気や食欲が普段通りある
・嘔吐や下痢の頻度が少なく、1日に1〜2回程度
・便の色に大きな変化がない
<深刻な病気のサイン>
一方で、次のような症状が見られた場合は、深刻な病気の可能性があり、早めに動物病院へ受診することが重要です。
・症状が3日以上続く
・発熱など他の症状も見られる
・元気がなく、食欲も落ちている
・嘔吐や下痢の頻度が多く、1日に3回以上
・便に血が混じっている、ゼリー状になっている、または黒いタール状の便が見られる
<応急処置と家庭でできるケア>
軽度の嘔吐や下痢であれば、以下のような家庭でのケアで改善することもあります。
・食事の変更
消化に良いフード(ウェットタイプや水でふやかしたドライフード)に切り替え、消化管への負担を和らげましょう。
・水分補給
下痢や嘔吐で失われた水分を補うため、水分を多く含むフードや犬用の経口補水液を与えることが効果的です。
・サプリメントの使用
整腸効果が期待できるサプリメントを使用するのも一つの方法です。
・休息
激しい運動は避け、十分な休息を取ることも大切です。
ただし、これらの方法はあくまで応急処置であり、症状が改善しない場合や長引く場合は、必ず獣医師に相談してください。
獣医師に相談すべき症状と状況
次のような症状や状況が見られた場合は、ご家庭で様子を見るのではなく、すぐに動物病院を受診することが必要です。
・血便
血便が見られる場合、ウイルスや寄生虫の感染、または腫瘍などが原因として考えられます。放置すると命に関わることもあるため、早急な診察と対処が求められます。
・頻繁な嘔吐(1日に3回以上)
急性膵炎や中毒を引き起こす異物の誤食の可能性があります。嘔吐が続くと体の水分が大量に失われ、脱水症状を引き起こす危険があります。
・脱水症状
目が充血している場合や、ふらつきが見られる場合は脱水症状を起こしているかもしれません。この状態では、輸液によって水分を補給しないと、臓器や器官に深刻なダメージが生じる可能性があり、対処が遅れると命を落とすこともあります。
・元気がない
散歩に行きたがらない、ハウスにこもって出てこない、フードやおもちゃに興味を示さないといった場合、体調に問題がある可能性があります。原因がわからなくても、全身に何らかの悪影響が及んでいるかもしれません。
動物病院で詳しい検査を受け、原因を特定した上で迅速な治療を行う必要があります。
予防法と日頃の注意点
嘔吐や下痢を未然に防ぐためには、日頃からのケアや家庭での対策がとても重要です。
まず、適切な食事管理が基本です。フードは使用期限内に与え、直射日光や湿気を避けて冷暗所で保管しましょう。特に開封後のドライフードは、チャック付きの袋に小分けして保存すると安心です。また、犬にとって人間の食べ物は消化に悪い場合が多いので、与えるのは控えましょう。
次に定期的な健康診断も欠かせません。健康診断は病気を未然に防ぐだけでなく、早期に異常を見つけて治療を始めるためにも非常に重要です。
特に高齢になると、さまざまな健康トラブルが増えるため、少なくとも半年に1回は全身検査を受けることをお勧めします。
ストレスの軽減も大切なポイントです。日頃から愛犬と十分に遊ぶ時間や、リラックスできる時間をつくることで、ストレスを和らげることができます。
生活環境やライフスタイルに変化がある場合は、犬が安心できる時間や場所を確保してあげることが重要です。
さらに、寄生虫予防にも積極的に取り組みましょう。定期的に消化管内の寄生虫を駆除する薬を投与し、ノミやマダニ、フィラリアなども一緒に予防できる薬を使うと、総合的な効果が期待できます。
ノミ・マダニ予防についてはこちらで解説しています
フィラリア予防についてはこちらで解説しています
ワクチン接種も忘れずに行いましょう。混合ワクチンを定期的に接種することで、危険なウイルス感染を予防できます。
子犬の頃からしっかりとワクチネーションプログラムに従い、定期的に予防を心がけましょう。
まとめ
犬が嘔吐や下痢をする原因はさまざまで、日常生活の中で起こり得ることです。ご家庭で愛犬の様子をよく観察し、深刻な症状が見られた場合は、早めに獣医師に相談することが大切です。
また、日頃から健康を守るためのケアや予防策をしっかりと行い、愛犬が健やかに過ごせるようにサポートしていきましょう。
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