診療実績|犬の甲状腺機能低下症、脱毛から診断につながった一例|市川市大和田の動物病院・ペットホテル│八幡みなみ動物病院

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診療実績|犬の甲状腺機能低下症、脱毛から診断につながった一例

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2026年7月24日

診療実績|犬の甲状腺機能低下症、脱毛から診断につながった一例

「なかなか毛が生えてこない」「脱毛が広がってきた」といった症状が続くと、皮膚病を心配される飼い主様は多いのではないでしょうか。

犬の脱毛は皮膚そのものの病気だけでなく、ホルモンの異常が原因となっていることもあります。そのため、見た目の症状だけでは原因を判断できず、必要に応じて詳しい検査を行うことが大切です。

今回は、譲渡されたばかりの保護犬が「毛が生えてこない」という症状をきっかけに来院し、検査によって甲状腺機能低下症と診断された症例をご紹介します。

今回ご紹介する症例

動物種:犬(トイ・プードル)
年齢:8歳
性別:オス(去勢済み)
主訴:毛が生えてこない・全身の脱毛
診断名:原発性甲状腺機能低下症
治療内容:甲状腺ホルモンを補う薬の内服
現在の経過:発毛・活動性ともに改善し良好に維持

ご来院までの経緯と診察時の様子

この子は、保護犬として新しいご家族に譲渡されたばかりでした。譲渡時から「毛が生えてこない」と聞いていたこともあり、全身の脱毛を心配されて来院されました。

初診時には、首まわりから胸、おなか、しっぽにかけて広い範囲で脱毛が認められ、外耳炎も併発していました。

脱毛の範囲やこれまでの経過から、皮膚そのものの病気だけでは説明できない可能性も考えられたため、ホルモンの病気(内分泌疾患)も視野に入れて検査を進めることにしました。

検査で確認したこと

今回の症例では、次の検査を実施しました。

一般血液検査
甲状腺ホルモン検査
ACTH刺激試験(副腎の働きを調べる検査)

検査の結果、診断につながる重要な所見がいくつか確認されました。

まず、T4(甲状腺ホルモンの一種)が著しく低い値となっていました。これは甲状腺機能低下症を疑う重要な所見です。

さらに、コレステロール値と中性脂肪が高値を示していました。これらは甲状腺機能低下症で比較的よく見られる変化のひとつです。

一方で、ACTH刺激試験ではコルチゾール値に異常は認められず、副腎の病気(副腎皮質機能低下症など)の可能性は低いと判断できました。

これらの検査結果を総合的に評価し、本症例は「原発性甲状腺機能低下症」と診断しました。これは、甲状腺ホルモンの分泌が低下することで、代謝が低下し、脱毛や皮膚の異常などさまざまな症状が表れる病気です。

治療・処置の内容

診断後は、甲状腺ホルモンを補うための内服薬による治療を開始しました。また、併発していた外耳炎には点耳薬による治療を行っています。

治療開始から数週間で、

活動性が向上する
発毛が認められる
T4値が正常範囲まで改善する

など、良好な変化が見られました。

一方で、治療経過中には、脱毛部に痂皮(かさぶた)や鱗屑(フケのようなもの)、かゆみが表れたため、詳しく調べたところ、ブドウ球菌による細菌感染が確認されました。一過性の表在性細菌性皮膚炎と判断し、抗菌薬とかゆみを抑えるお薬を追加した結果、約1か月で皮膚症状は改善しています。

甲状腺機能低下症の治療中に一時的な皮膚炎を併発したものの、それぞれの原因に応じた治療を行うことで、症状の改善につなげることができました。

治療後の経過

現在は、甲状腺ホルモンを補う内服薬のみで状態を維持しています。脱毛していた部位には順調に発毛が見られ、被毛の状態も改善しました。また、見た目だけではなく、以前より活動性も高まり、元気に過ごせるようになっています。

治療開始から約半年が経過した現在も良好な状態を維持しており、今回の症例では、皮膚だけでなく全身の状態も改善したことで、生活の質の向上につながりました。

犬の甲状腺機能低下症について

甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンが十分に作られなくなる病気です。中高齢の犬で比較的よく見られる病気として知られています。

代表的な症状には、次のようなものがあります。

脱毛
毛づやの低下
元気がない
動きたがらない
体重が増えやすい
寒がる

ただし、これらの症状は少しずつ進行することが多く、「年齢のせいかな」と思われてしまうことも少なくありません。

今回の症例のように、脱毛などの皮膚症状をきっかけに甲状腺機能低下症が見つかることもありますが、症状が目立たない段階では健康診断の血液検査で異常が見つかるケースもあります。

特に中高齢の犬では、健康診断によって異常を早期に発見できれば、その分早く治療を始められる可能性があります。気になる症状がなくても、定期的な健康チェックをおすすめします。

犬の甲状腺機能低下症についてはこちらから
健康診断についてはこちらから

まとめ

今回は「毛が生えてこない」「脱毛が広がっている」という症状をきっかけに、甲状腺機能低下症が見つかった典型的な症例をご紹介しました。適切な検査によって原因を特定し、治療を開始したことで、発毛だけでなく活動性の改善にもつながった症例です。

八幡みなみ動物病院では、皮膚症状だけを見るのではなく、その背景にあるホルモンの病気なども含めて丁寧に診察・検査を行い、その子に合った治療をご提案しています。「なかなか毛が生えてこない」「脱毛が気になる」「以前より元気がない」といった変化が見られる場合は、どうぞお気軽にご相談ください。

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